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小石川柳町クリニックは、お子さんとご家族のためのクリニック です。

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医療情報提供におけるメディアの限界

厚労省による2013年6月のHPVワクチン接種の勧奨中止政策の発動には、当時のメディアによる報道内容が大きく影響したことが指摘されています(参照先1)。この論文ではHPVワクチンに関する朝日・毎日・産経・読売・日経の各新聞社による全文が入手できた1126の記事について解析しています。ここで、朝日新聞2013年3月8日の記事(参照先2)が、その後のHPVワクチンの副反応やリスクが喧伝されるようになった転換点であると指摘しています。このあと、朝日新聞ではHPVワクチンの副反応を印象付ける記事が連日のように掲載されました。しかし現在まで、この一連の報道について朝日新聞社が謝罪や撤回をしたことはありません。

一方、2021年6月9日付け朝日新聞は、HPVワクチンが子宮頸がんを予防する実際の効果が国内外で次々報告されているのに、厚労省はワクチン接種の積極的勧奨控えを8年間も続けている、と報道しました(参照先3)。

自らが招いた勧奨中止の責任所在を明らかにせず、厚労省の長期勧奨控えを批判する対応からは、過去の誤報を謙虚に反省し今後の経験として活かす精神は認められません。医療情報を注目度が高いかだけで扱い、内容の正しさを科学的、客観的に分析し提供する能力を欠いたメディアの限界を示しています。

ジベルばら色粃糠疹(ばらいろ・ひこうしん)

主に思春期から30歳代に好発する、原因不明の炎症性角化性皮膚疾患です。見た目は派手ですが、基本的に自然治癒します。(参照先1参照先2

  • 最初、体幹、四肢近位部に2~5cmの比較的大きな円形〜楕円形の淡紅色皮疹(初発疹=ヘラルドパッチ)が1個出現する
  • わずかに隆起した辺縁には薄い鱗屑(カサカサ)が付着し、経過とともに中心部は黄色調になり環状になる
  • 初発疹から2~14日後に、急激に体幹、四肢近位部に初発疹と同様の形状の皮疹(長径1~2cm)が多発する
  • 通常3~6週(長くて3か月)で自然治癒し、再発することは少ない
  • 痒みなど症状により、ステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬を使用する(ただし、ステロイドは効きにくくvery strongクラスが必要とされる)

小児の新型コロナ感染症とワクチン接種

米国では2021年5月の時点で約400万人の小児の新型コロナウイルス感染症患者が発生しています。殆どの小児患者では軽症ないし無症状ですが、数千名が入院し、数百名が死亡しています。このように小児の重症例が増えていることから、米国FDAとCDCは12歳以上のワクチン接種奨励を開始しました。現在、6か月齢以上の小児に対するワクチンの効果と安全性の治験が進行しています(参照先)。今後、日本でも変異株の拡大と小児への影響に注視する必要があります。

母乳栄養における亜鉛不足

母乳では初乳の亜鉛濃度は高いのですが、その後急速に低下し出産1か月後で育児用ミルクのレベル、出産3か月では更にその1/3程度になり亜鉛の必要量を満たさなくなります(参照先)。そのため、離乳食の開始が遅れ母乳だけで育てていると潜在的な亜鉛欠乏状態になります。さらに、早産低出生体重児、両親いずれかの遺伝的亜鉛吸収障害、母親の遺伝的低亜鉛母乳などの危険因子が加わると亜鉛欠乏症が発症することがあります。主な症状は、治りにくい皮膚炎(四肢末端、外陰部・肛門周囲、口・鼻孔周囲、眼瞼)、脱毛、下痢、成長障害、貧血、易感染性、味覚障害などです。

ファイザー、アストラゼネカCOVID-19ワクチンのインド変異株に対する有効性

英国変異株(B.1.1.7)およびインド変異株(B.1.617.2)に対するファイザーワクチン、アストラゼネカワクチン1回目接種後3週以降、2回目接種後2週以降の発症予防に関するワクチン効果(VE)は、2021年5月22日付け査読前論文で次のように示されました(参照先)。

英国変異株インド変異株
ファイザー
1回目
2回目
49.2%
93.4%
33.2%
87.9%
アストラゼネカ
1回目
2回目
51.4%
66.1%
32.9%
59.8%

インド変異株に対しては、いずれのワクチンも1回接種での発症予防効果は30%程度と低く、2回接種によりファイザー88%、アストラゼネカ60%と英国変異株の場合とほぼ同等の効果が得られることが示されました。

小児の副鼻腔炎に用いる漢方薬

味と効果の面から、小児の副鼻腔炎に対しては葛根湯加川芎辛夷(かっこんとう・か・せんきゅう・しんい)がよく用いられます。かぜ薬としてよく知られた葛根湯に、鼻粘膜に作用して鼻閉や副鼻腔排膿に効果のある「川芎」「辛夷」が加えてあります。急性・慢性鼻副鼻腔炎のいずれにも適応があります(参照先1)。単シロップを加えて全体を湯に溶かし、カルピスを少量加え冷やすと、子どもが好む飲料(マミー)の味になります。

さらに抗炎症作用のより強い薬として辛夷清肺湯(しんい・せいはいとう)があります。主に、慢性副鼻腔炎が適応となり、クラリスロマイシン少量療法で改善が不十分な場合には本剤を試みる価値があります(参照先2)。ただし、苦み、辛みが比較的強いので、服薬には条件を工夫する必要があります。

2016年に大手メディアが握りつぶしたHPVワクチン記事

読売新聞社が掲載予定を中止した読売新聞健康欄(yomiDr.)のHPVワクチン解説記事です(参照先)。執筆は長崎大学小児科森内浩幸先生です。この件が原因となり、責任編集者は担当を外され新聞社を辞職しました。

今から見ればごく当然な記事内容ですが、当時は行政だけでなく大手メディアも一緒になりHPVワクチンに関するネガティブな印象操作を展開していて、正確な情報提供を抑えていた事実を物語っています。

卵黄による消化管アレルギー

小児の卵(鶏卵)アレルギーは、卵白を摂取して1時間以内に蕁麻疹や呼吸器症状を認めるIgE依存性アレルギーが一般的です。これに対して、卵黄を摂取してから数時間以降に嘔吐や下痢などの消化器症状を認める食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES: Food protein-induced enterocolitis syndrome)が、最近日本国内で多く報告されるようになり注目されています。以下のような臨床的特徴があります(参照先1)。

  • 発症は生後8か月頃の離乳食開始後に多い
  • 症状は嘔吐(100%)、不活発(81%)、顔面蒼白(73%)、下痢(35%)、血圧低下(4%)
  • 卵黄を食べると嘔吐が誘発されるが、卵白を食べても嘔吐は見られない
  • ごく微量(0.025g=米粒の約1/10)の卵黄に反応することがある
  • IgE抗体は卵白に対して半数程度が陽性になるが、このうちで卵黄にも陽性になるのはごく一部であり、非IgE依存性アレルギーとされる
  • 発病当初は卵黄に対するFPIESだけが、経過中に卵白に対するIgE依存性アレルギーが同一患者に出てくることがある
  • 比較的治りやすい疾患で、2歳までに半数以上が、5歳までにほぼ全員が治癒するとされる(参照先2 静岡県立こども病院「こどものアレルギー」 http://www.child-allergy.jp/sch.htm

アトピー性皮膚炎乳児における鶏卵アレルギーの発症予防

乳児期の食物アレルギーの原因として最も多いのは卵(鶏卵)アレルギーです。この発症リスクとして重要なのは、アトピー性皮膚炎の存在と、卵摂取開始時期の遅れです。アトピー性皮膚炎をステロイド外用薬とスキンケアで良好にコントロールしながら、少量の卵摂取を生後6か月から開始すると、生後12か月の時点で卵アレルギーの発症が約80%抑えられることが明らかにされています(参照先1参照先2)。
その実施方法は以下のとおりで、当院外来で指導を受けられます。

  • アトピー性皮膚炎は治療により生後6か月までに寛解状態にある
  • 生後6か月から加熱全卵0.2g(加熱全卵粉末50mg)/日を3か月間継続して摂取する
  • 生後9か月から加熱全卵1.0g(加熱全卵粉末250mg)/日を3か月間継続摂取して終了する

ここで、加熱全卵0.2gとは、具体的には15分間の固ゆで卵白約0.2g(およそ米粒大=一辺約5mmの立方体)に相当します。
上記完了後に、固ゆで卵1/2個の摂取で問題が無いことを確認します。

ファイザーCOVID-19ワクチンの英国、南アフリカ変異株に対する有効性

英国変異株(B.1.1.7)および南アフリカ変異株(B.1.351)に対するファイザーワクチン2回接種2週間以後におけるワクチン効果(VE)は、2021年5月5日付けの報告で次のように示されました(参照先1)。

英国変異株南アフリカ変異株
感染89.5%75.0% 
重症化100.0%100.0%

既存株と比較して感染予防にはいずれも若干の低下は認められるものの、重症化阻止には依然として高い効果が認められます。
一方、アストラゼネカワクチンについては、南アフリカ変異株に対して有効性が認められない、と2021年3月16日付けの他の論文で指摘されました(参照先2)。

2m以上離れていても新型コロナウイルスに感染する条件

感染力の強まった変異株の拡大で、これまで以上に厳格な感染対策が必要だとされます。米国CDCの2021年5月7日付け改訂版から紹介します(参照先)。

以下の条件で感染者が滞在した場合、2m以上離れた場所でも、あるいは感染者が退出した直後でも、微細な飛沫やエアロゾル粒子により感染するリスクが生じる。

  • 換気不十分な閉鎖空間
  • 吐き出す息の量が多い(運動、歌う、叫ぶ、など)
  • これらの環境に15分以上いる

猫ひっかき病

猫による人畜共通感染症です。以下の特徴があり、猫による外傷・接触歴がある場合に、受診時に告げることで診断に到達しやすくなります(参照先)。

  • 発熱と亜急性のリンパ節腫脹が主症状
  • 病原体は細菌(Bartonella henselae
  • 好発時期は7〜12月(春から夏に生まれた子猫がノミを介して感染し、秋に離乳した子猫がひっかく)
  • 発症要因は、ひっかき傷>咬傷、外傷のない接触、ノミ刺咬
  • 感染後7〜12日間に感染部位に2〜5mmの紅斑性丘疹(原発病変)が1つ以上出現し、1週間程度で自然消退する
  • その後、発熱、リンパ節腫大(受傷部位の所属リンパ節、腋窩部>鼠径部・頚部)が2〜4週間で出現、2〜4か月で自然消退する
  • アジスロマイシンの5日間内服が発症1か月以内のリンパ節腫脹の軽減に有効

クループに対する経口ステロイド療法の改良

クループは生後6か月〜3歳頃に多く見られ、オットセイの鳴き声のような特有の咳、吸気性の呼吸障害を呈します。主にウイルス感染による声帯直下の気道粘膜の浮腫により起こります。 クループに対する経口ステロイド治療は、古典的にはデキサメタゾン0.6mg/kgの単回投与ですが、日本で通常使われるデカドロンエリキシル0.01%だと体重10kgで60mLにもなります。最近提唱されている投与量である0.15mg/kgとしても15mLとまだかなり多いです。これに対して、より実際的なプレドニゾロン3日間投与を比較した報告です(参照先)。

  • クループ患者87名をデキサメタゾン0.6mg/kg初日1回投与(続く2日は偽薬)群(n=41)とプレドニゾロン2mg/kg/日3日間投与群(n=46)に無作為に割り付け
  • 追加医療の必要性、症状持続期間、クループ咳嗽の消失頻度、保護者への負担程度、のいずれも両群間で差を認めなかった。

以上より、プレドニゾロン経口3日間投与法は従来の方法と同等の有効性を持つ治療法であることが示されました。家庭で薬剤を備えておけば、発作時の緊急時対処法として有用であると考えられます。

フォローアップミルクに切り替える必要はあるか

9/10か月健診でときどき質問される内容です。

フォローアップミルクは、牛乳と母乳で決定的に不足している成分(鉄、ビタミンD)を補強した製品で、9か月以降の使用が想定されています。通常の育児用ミルクと比べて、主な内容構成に大きな差異はありません(参照先1)。しかし、厚労省が約40年前に定めた規則により、亜鉛、銅などの微量元素の含有は育児用ミルクでは認められていますが、フォローアップミルクでは認められていません(米国ではいずれも認められています)。そのため、日本では離乳食がうまく進まない場合にフォローアップミルクで補完すると、亜鉛欠乏になるリスクがあります(参照先2)。離乳食の素材として乳製品を少量用いるのであれば、牛乳で構いません。
フォローアップミルクの使用については以下のようにまとめられ、一般的には乳幼児の育児に必須ではありません。

  • それまで使っていた育児用ミルクを、9か月に達したという理由で敢えてフォローアップミルクに変える必要はない
  • 完全母乳や混合栄養で不足しがちな鉄については離乳食の内容(赤身肉、赤身魚、レバー、小松菜、ひじき、ホウレン草等の利用)で、ビタミンDについてはその対策(日光浴、卵黄・魚・キノコ摂取、ビタミンDサプリ)で十分対処できる
  • 1歳以降は、鉄、ビタミンDに配慮した食事・対策と牛乳(カルシウムに富む)を利用する

食物アレルギーは荒れた肌から始まる

アトピー性皮膚炎は通常生後2〜6ヶ月から発症し、これに遅れて1歳頃までに食物アレルギーが出現します。アトピー性皮膚炎の肌は一番表層にある角質に隙間が空き、外部からの物質の侵入を防ぐバリアー機能が障害されています。このような皮膚では表皮からのアレルゲンの侵入に対して真皮にある免疫細胞が活性化してアレルゲンを捕捉し、アレルギー反応を起こすIgE抗体が作られます。これをアレルゲンに対する「経皮感作」と言います。経皮感作により食物蛋白(卵、乳、小麦、大豆など)への感作が成立すると、口から摂取した食物に対しても種々のアレルギー反応を起こすようになります(参照先1)。

アトピー性皮膚炎には遺伝的な素因があることが知られています。フィラグリンという蛋白質は角質のケラチンに働いて、角質の構造を強固にする機能があります。日本人のアトピー性皮膚炎の約3割にフィラグリン遺伝子異常があることが分かっています。フィラグリン遺伝子異常は、食物アレルギー発症の危険因子です(参照先2)。

以上より食物アレルギーの発症予防には、乳児期早期より積極的な保湿剤の使用により皮膚のバリアー機能を保持し、アトピー性皮膚炎が発症した場合には直ちにステロイド外用薬を中心とした適切な治療を開始し、皮膚を良好な状態に維持することが重要です。

小児副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎

小児副鼻腔炎では30%以上にアレルギー性鼻炎の合併が認められ、副鼻腔炎の成因にアレルギー性鼻炎が深く関わっていることが推定されます。

アレルギー性鼻炎は鼻腔・副鼻腔粘膜の腫脹や肥厚により、副鼻腔と鼻腔をつなぐ自然孔(ostiomeatal complex)の狭小化をもたらします。また、副鼻腔の急速な発育は5〜8歳にかけて起こるのに対して、自然孔の発育は14歳位まで一定の速度で進むため、自然孔が相対的狭小になるアンバランスがこの時期に起こりやすくなります(参照先)。これにアレルギー性鼻炎による粘膜腫脹が加わると副鼻腔からの膿性粘液の排出が一層不良になり、副鼻腔炎が遷延化しやすくなります。

アレルギー性鼻炎は近年、低年齢化が顕著になっています。アレルギー性鼻炎に対して舌下免疫療法をはじめとして早期より積極的に介入することは、小児副鼻腔炎を難治化させないために重要であると考えられます。

ファイザーCOVID-19ワクチンの臨床的有効性

イスラエルからの報告です(参照先)。

  • 2020年12月20日〜2021年2月1日に実施した接種596,618名と性別、年齢、人種、リスク因子数を一致させた非接種596,618名を比較
  • 初回接種14〜20日後、2回目接種7日目以降の結果を解析
  • 接種による予防効果(推定ワクチン効果[VE])は以下のとおり
    • 感染:初回46% 2回92%
    • 発症:初回57% 2回94%
    • 入院:初回74% 2回87%
    • 重症化:初回62% 2回92%
    • 死亡:初回72%
  • 初回接種21〜27日後は14〜20日後に比べてより高いワクチン効果を認めた
  • 性、年齢の差異、合併症の有無に関わらず同程度の高いワクチン効果を認めた

9価HPVワクチンの安全性

米国にはワクチン接種後の有害事象(因果関係の有無を問わない)を報告する制度(VAERS)が整備されています。9価HPVワクチンについての報告を紹介します(参照先)。

  • 2014〜2017年に実施された販売開始後約2,800万回接種経過時点の報告
  • 有害事象の97.4%は非重篤であった(接種100万回あたり全有害事象259件、重篤事象7件)
  • 新奇あるいは予想しない健康被害の懸念は認められなかった
  • 9価HPV ワクチンは安全に接種できる

安全な筋肉注射の手技

日本ではほとんどの不活化ワクチンで皮下注射が指定されてきたため、筋肉注射の安全な手技が医療従事者に共有されてきませんでした。しかし、新型コロナウイルスワクチン、HPVワクチン、髄膜炎菌ワクチンは筋肉注射で行われるため、神経損傷や血管損傷を避ける正しい知識が必要です。奈良県立医科大学整形外科・臨床研修センターが提唱する内容を紹介します(参照先)。

  1. 肘は曲げないで、手のひらを体幹に向けて上肢をだらりと垂らす
  2. 肩峰と三角筋辺縁を確認し、肩峰から10cm下の三角筋中央部を選ぶ
  3. 皮膚はつまみ上げずに20mmの深さで垂直に刺す
  4. 血液の逆流は確認しない
  5. 注射後は揉まない

HPV感染から子宮頸がんに至る長い道のりとその予防

ワクチン接種によりヒト・パピローマウイルス(HPV)初感染は約90%予防できます(一次予防)。HPVはDNAウイルスであり変異が少ないため、同じワクチンが長期間使用可能です。感染の場は性交渉に限られ、いったん持続感染が成立してしまうとワクチンにより排除することはできなくなるため、性交渉開始前に接種しておくことが重要です。

HPV感染により子宮頸がん発生に至る自然歴は、以下のような経過をたどります(第116回東京小児科医会学術講演会 木口一成先生の講演から引用)。

10,000名の未感染女性 → 生涯で約60%〜70%に感染(6,000名)→ 1年を超える持続感染が感染者の約10%(600名)→ 数年〜10年以上経過して異形成(前がん病変)になるのが感染者の2%(120名)→ 最終的にがんになるのが感染者の0.1%(6名)

この長いカスケードの始点(子宮粘膜面におけるウイルスの侵入)にワクチンが働くことで、感染者発生とそれ以降を大幅に抑え込むことができます。

HPVワクチンに追い風が吹き始めた

9価HPVワクチン(シルガード®9)はカバーするウイルス型が多いため、4価HPVワクチン(ガーダシル®)に比べて子宮頸がんで9.9%〜15.3%、肛門がんで8.5%〜10.4%のより高い予防効果が見込まれます(参照先)。また、HPV未感染だけでなく既感染であっても新規ウイルス感染に対する予防効果が期待されます。

9価HPVワクチンはその高い臨床的効果により注目されています。2021年2月24日発売からの3週間で、当院ではすでに22名の方が接種を受けました。その2/3は20~30歳代で、1/3は10歳代の女性でした。

一方、2021年初からの2ヶ月半で4価HPVワクチンの定期接種を受けられた方は5名になり、これまでの年間接種数並みになりました。これは、文京区が2021年1月8日から小学校6年生〜高校1年生女子のいる各戸にHPVワクチンリーフレットを送付した結果だと思います。

定期接種の対象となる10歳代前半では4価ワクチンも高い臨床的予防効果(88%)が期待できるので、定期接種を利用して無料で受けるのはよい選択だと思います。一方、20歳代後半以降ですでにHPV感染が想定される場合には、既感染があっても効果の期待できる9価ワクチンを自費で受けられるのが適切だと思います。

男も打つべきHPVワクチン

日本では、2020年12月末に男性への4価HPVワクチン(ガーダシル®)の任意接種が認められました。当院にHPVワクチン接種希望で来られる女子の保護者から、「男の子にもHPVワクチンって、男子には子宮が無いのになぜですか?」と、しばしばご質問をいただきます。

ナビタスクリニック久住英二先生の解説を紹介します(参照先)。

4価HPVワクチンは、子宮頸がんを起こすウイルス2種類(16/18型)に、尖圭コンジローマを起こす2種類(6/11型)をワクチンがカバーする対象に加えています。とくに、尖圭コンジローマの予防効果はほぼ100%です。尖圭コンジローマは良性腫瘍でありながら、摘除しても再発を繰り返し、患者さんの悩みがとても深い疾患です。

ワクチン接種後の「副反応」とは

先日、新型コロナワクチン接種後に60歳代女性が亡くなり、“国内初の接種後死亡例”として報道されていました。しかし、その死因がくも膜下出血と聞いて、ワクチン接種がなぜ脳血管の破綻に関係するのだろう、と不思議に思われた方も多かったと思います。

日本の予防接種救済制度上、予防接種後に健康状況の変化をきたした場合は(因果関係が無いことが明白な場合を除いて)因果関係の有無に関わらずすべて「副反応」として報告され、原則として救済の対象となります(参照先1)。一般に、予防接種と有害事象の因果関係を有害事象の当事者が立証することは困難であるため、救済の対象をなるべく広くカバーするという主旨で制度が組み立てられています。「副反応」は医学的には因果関係が認められた場合に用いられますが、被害者救済を目的とした行政制度上は因果関係の有無は問わない用語である点が異なります。ところが、「副反応」という日本語が“予防接種と因果関係がある”かのような印象を与えてしまうために、“すべてワクチンのせい”という誤解が発生します。

病気には好発年齢があることは周知の通りですが、これが予防接種後にたまたま発生して「副反応」とされるのを、有害事象の「紛れ込み」と呼びます。長崎大学小児科森内先生によるHPVワクチンの論説の中で分かり易く説明されています。(参照先2

生ワクチンを追加接種するタイミングはどのように決められているか

生ワクチンを2回接種する場合、それらの接種時期や間隔は対象者の年齢や目的により変えています。

MRやおたふくかぜは1歳早期に接種した後、通常就学前に2回目になります。これは、一旦付いた免疫が時間経過により低下してしまう(二次性ワクチン効果不全 [SVF, secondary vaccine failure])人に対して、2回目接種により免疫を回復させるためです。

一方、それまで接種を受けなかった学童以上の人に対してキャッチアップ接種する場合、最短4週間で2回の接種を行います。これは1回の接種では免疫が充分付かない(一次性ワクチン効果不全 [PVF, primary vaccine failure])人に対して、2回の接種で確実に免疫が付くようにするためです(参照先1)。

以下に2回接種の予防効果について示しておきます。

 1回目2回目 
麻疹・風疹95%99%参照先2
おたふくかぜ78%88%参照先4
水痘80-85%90%参照先5

HPVワクチン報道―潮目の変化

今日(令和3年3月4日)、NHK朝7時のニュースでHPVワクチンが特集で取り上げられていました。
番組内容は、「このワクチンのリスクとベネフィットについて正しく知ろう」というメッセージが貫かれていました。ワクチンの危険性と子宮頸がんの恐怖、二者択一の選択を強迫的に視聴者に迫る嘗ての報道姿勢とは随分違っていました。この変化には、過去10年間に積み上がってきたHPVワクチンに関する科学的エビデンス、とりわけワクチンによる子宮頸がん予防効果を明白に示した昨年のスウェーデンからの研究成果の影響が大きいことは疑いありません。
このワクチンを受けるかどうか、決定は実質的に保護者の判断に委ねられています。その保護者の意思決定に影響するのは周囲の社会です。定期接種の期限内に受けさせて貰えなかった女子大学生が、公費によるキャッチアップ接種の実現を求めています。事実を正しく認識し、思春期の少女たちを将来の子宮頸がんから守るのは、我々大人の責任です。

HPV母子感染症

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、産道や羊水を介して母親から新生児に感染することがあります。若年性喉頭乳頭腫の原因はHPV6型、11型であり、母親にこれらによる尖圭コンジローマがあると経腟分娩の際に児に感染します。腫瘍の好発部位は声門部であり、乳幼児期からの嗄声や呼吸困難を生じます。良性の腫瘍ですが摘除しても再発を繰り返し治療に難渋します(参照先1)。また、子宮頸がんの母親から羊水を介して児にHPVによる肺がんが生じた2例の報告が日本のグループからなされました(参照先2)。いずれもHPVワクチンによる妊娠前の感染予防が重要であることを示しています。

CDCが推奨するHPVワクチン接種スケジュール

米国CDCは11〜12歳における2回接種を最も推奨した上で、以下の接種スケジュールを勧めています(参照先)。

2回接種法(9〜14歳対象)

  • 初回接種は15歳誕生日前に実施し、2回目接種は初回後6〜12ヶ月後に実施
  • 初回と2回目の最短期間は5ヶ月間(5ヶ月以内に行った場合には、3回目接種を12週以上空けて実施)
  • 接種スケジュールが中断された場合には、中断期間の長さに関わらず中断前最後の分の繰り返し接種は行わない
  • 9〜14歳2回接種法により、後期思春期および若年成人に対する3回接種法と同等かそれ以上の免疫が得られる

3回接種法(15〜26歳対象)

  • 初回接種が15歳誕生日以降か、何らかの免疫不全状態にある場合に選択
  • 2回目は初回の1〜2ヶ月後、3回目は初回から6ヶ月後
  • 最短期間は、初回と2回目は4週間、2回目と3回目は12週間、初回と3回目は5ヶ月間空ける(これよりも短い間隔で接種した場合には、最後の投与から別の最短期間が経過してから再投与が必要)
  • 接種スケジュールが中断された場合には、中断期間の長さに関わらず中断前最後の分の繰り返し接種は行わない

新型コロナワクチンを筋肉注射でするわけ

新型コロナワクチンは筋肉注射で行われるため、この手技を映像で頻繁に見るようになりました。日本では1960〜70年代に抗菌薬や解熱剤の筋肉注射を原因とする大腿四頭筋拘縮症が多発し、そのトラウマから本来関係のないワクチンについても筋肉注射が避けられるようになりました。しかし、世界では不活化ワクチンは筋肉注射が標準です(生ワクチンは皮下注)。日本でも最近ではHPVワクチンや髄膜炎菌ワクチンは筋肉注射が指定されています。

ワクチン筋肉注射は皮下注射に比べて局所の痛みや腫れが少なく、しかも免疫を付ける能力に優れています。この手技についての分かりやすい解説を紹介します(参照先)。

早すぎる乳房発育

女の子で思春期が始まる前に乳房が腫大することがあり、「早発乳房」と呼ばれます。好発時期は、生後6ヶ月〜1歳半、および6〜7歳頃にあります。原因は明らかでなく、視床下部・下垂体・卵巣ホルモンの一過性分泌亢進や、乳腺のホルモン感受性の一過性亢進などが考えられています。

症状は一時的で1歳で始まり、殆ど2〜3歳までに消失します。6〜7歳で始まると、その後1年ほどで思春期に入ることが多いと言われます。

鑑別すべき病気として思春期早発症があり、身長の急激な増加、陰毛発育、生理などの二次性徴の出現で疑います。

9価HPVワクチンに関する最新解説

日本産科婦人科学会により9価HPVワクチンについて2021年1月8日に公開された詳しい解説です(参照先)。
HPV感染がすでに起きている人への9価ワクチンキャッチアップ接種の意義、4価ワクチンを単回接種しその後に9価ワクチンに変更して接種した場合の効果、日本人における9価ワクチンの効果などの重要なエビデンスが紹介されています。

9価HPVワクチン(シルガード®9)の接種開始と費用

2021年2月24日より、9歳以上の女性を対象に9価HPVワクチンの任意接種が可能になります。当院インターネット予約システムから予約できます。当院での接種費用は1回あたり29,000円(税込)です。

接種当日、接種を受けるご本人(または保護者)のスマートフォンから、インターネット上の登録サイト(ワクチンQダイアリー)に情報を入力する必要があります。この情報提供は厚労省の指示によるもので、個人情報は保護されます。なお、ワクチンQダイアリー・ログインページにある「新規登録」から基本情報の登録をあらかじめ済ませておくと、接種当日は予診票の入力だけで済みます。

なお、男性への9価ワクチン接種は日本ではまだ承認されていません。男性に適応の認められた4価ワクチンの接種をお勧めします。また、2価ないし4価ワクチンによる接種スケジュールをすでに完了された方が、9価ワクチンをさらに追加して接種することは推奨されていません。2価ないし4価ワクチンによる接種スケジュールを完了していない方が9価ワクチンにより接種を完了することは可能とされています(参照先)。当院はHPVワクチンの世界標準の接種スケジュールである14歳以下は2回接種、15歳以上は3回接種で実施します。

接種部位は上腕上部(肩峰から3横指下)になりますので、当日は肩が出やすい衣類(Tシャツ、タンクトップ等)を着てお越し下さい。

日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言」

新型コロナウイルスワクチンに関する学会ガイドラインです(参照先)。今後、日本で使用が予定されているmRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)、ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ)について、作用機序、有効性、有害事象の頻度などについての一般向けの最新の解説が要領よくなされています。

なぜHPVワクチン積極的勧奨の中止を撤回しないのか:厚労省による説明

2013年6月にHPVワクチンの積極的勧奨中止の根拠にしたワクチン副作用を否定する国内外のエビデンスは揃い、子宮頚がんの発症を予防する高い効果も確認されました。最早これ以上、勧奨中止を続ける根拠はどこにも無いように思われます。

しかし、厚労省は勧奨中止の撤回を未だにしようとしません。その理由としているのが「国民の理解がまだ足りない」からだそうです(参照先)。しかし、この定期ワクチンの存在を2013年以来接種対象者になるべく知らせない方針をとり続けてきたのは、厚労省自身に他なりません。最近になり、これまでの政策を一部変更し、自治体によるワクチン情報文書の戸別配布を認めましたが、いまだに明確な方針転換ではないために、多くの自治体の対応はこれまでと同様に接種勧奨に消極的のままであり、自治体ホームページ上では「積極的には勧めていません」の文言が残されています。一方、厚労省作成の最近のHPVワクチン解説リーフレットでは、この文言をなるべく目立たなくする姑息な対策が取られており、勧奨中止政策の破綻と変更の必要性を認識していることがうかがわれます。

2013年以降、メディアが拡散させたHPVワクチンへの不信感、恐怖心は人々の間に根強く残っています。かりに積極的勧奨が再開されたとしても、接種率向上には相当な困難が予想されます。ワクチンへの正しい理解を広めたいのであれば、厚労省が行ってきた勧奨中止政策や接種に不安を与える表現をまず止め、ついでワクチンの有効性と安全性について分かりやすく、教育の場や種々の媒体を活用して、効果的に大規模に宣伝することが重要です。

間違ったこれまでの政策判断を変えないことを前提とした対応からは、厚労省自らが作った袋小路から抜け出すことはできません。これからの日本の若い女性を子宮頸がんから守るために、明確な政策変更が必要です。

アトピー性皮膚炎の参考書

マンガでわかる! 子どものアトピー性皮膚炎のケア
堀向健太、青鹿ユウ著

アトピー性皮膚炎の症状、成因、治療について広く説明してあります。文章は平易で漫画も加えてあり一般向けですが、内容は具体的で相当に詳しく最新の情報も記載してあり、医師が読んでも参考になります。著者が前任した成育医療センターアレルギー科の診療方針に沿っており、当院の治療法もこれに準じています。

アトピー性皮膚炎治療用の筒状包帯(Tubifast®)

伸縮性にすぐれたアトピー性皮膚炎治療用の筒状の包帯です。ステロイド外用剤や保湿剤を塗った患部皮膚を覆うよう、水で濡らしたものに乾燥したものを被せる(wet wrap)、あるいは乾いたもの一重で使用(dry wrap)して、治療効果を増強します(参照先)。

洗濯すると繰り返し使えますが、弾力性保持のために手洗い(洗濯機はネット使用)して下さい。自然乾燥をお勧めします。漂白剤は使用しないで下さい。

当院では、乳幼児の体幹部に使える幅10.75cmの包帯(Tubifast® yellow-line, 長さ10m)を、長さ50cmに切った状態で販売します。体幹部の皮膚炎がしつこく繰り返す場合にご利用下さい。別に四肢用も用意しています。

身体症状症について:HPVワクチン“副反応”の本態

2013年以降HPVワクチンの“副反応”と報道されてきた症状について、じつはワクチン接種とは関係なく、接種しなかった人にも同じ症状が同じ頻度で起こることが2015年に名古屋市で実施された7万人規模の調査で確認されています(参照先1)。この疾患像について解説します(参照先2, 参照先3)。

  1. 身体症状症(診察や検査をしても原因不明の身体症状[機能性身体症状]があり、患者がその症状について過剰な感情、念慮、苦痛をいだき、とらわれる点に特徴がある)が、問題となった症状の本態と考えられている。
  2. 機能性身体症状それ自体は、思春期女性ではしばしば(10%以上)経験される。思春期でも、年齢の上のほうが出やすい。
  3. 身体症状症は、もともと本人に不安傾向があるところに、生活上で体験する怪我やいじめなどの急性のストレスが加わることが誘因になる。保護者に背景因子(不安になりやすい、子どものストレスを受け止められない、うつなどの精神疾患、家庭内の不和、など)があると、悪い方向にはたらく。
  4. 保護者に特定の傾向(心理的治療を拒否する、原因究明にこだわり病院を転々とする、自らの作り上げたストーリーに固執する、病状に対する心理的社会的な洞察が欠如している、など)があると、難治化しやすい。
  5. 医師の対応(患者の訴えに対して頭ごなしの否定、身体的原因究明に偏った診療とたらい回し、など)や、メディアの情報(“ぜんぶワクチンのせい”にする記事や映像)も、発症の引き金や難治化の要因になる。
  6. 行動療法などの心身医学的な介入が多くの場合に有効である。

以上より、HPVワクチン接種を受けるにあたっては、本人と保護者が不安や恐怖心を抱かないように「ワクチンの意義や内容をよく理解して、前向きな気持で安心して接種にのぞむ」ことが重要です。
さらに、当院では接種が不快な体験とならないよう、以下の対策をとります。

  1. 接種年齢はなるべく低くする(11〜12歳頃)。
  2. 疼痛を起こしにくい製剤を選ぶ(4価は2価よりも疼痛が少ない)。
  3. 疼痛の生じやすい皮下注を避ける。上腕三角筋の中央部で十分な深さ(およそ20mm程度)で筋注すれば、ほとんど疼痛は生じない。
  4. 身体症状症が疑われる場合には、本症を総合的に診療する専門医療機関へすみやかに紹介する。
  5. HPVワクチンに対して根拠のない不安を煽る言説に対しては、ひとつひとつ根拠を示しながら否定し続けて、接種対象者と保護者の正しい理解と不安解消をはかる。

HPVワクチンの個別通知の再開:文京区の状況(令和2年12月23日記載)

HPVワクチン接種普及の大きな障害になってきた国による「各家庭への個別通知の停止方針」が、令和2年10月9日に撤回されました(参照文書1)。

これに伴い、今後配布される予定の新しいHPVワクチン説明リーフレットも公開されました。従来のものに比べて、記載の内容はバランスのよりとれたものになっていると思います(参照文書2参照文書3)。

文京区でも、令和3年1月8日から新リーフレットが小学6年生〜高校1年生女子のいる各家庭に送付されます。また、予診票も実施医療機関に個別に配置されます。これまでに比べて、よりスムーズに接種が受けられる環境が整うことになります。

現在高校1年生女子については、令和3年3月31日までが公費による接種実施期限ですが、新型コロナウイルス感染症による定期接種の期限延長対象になります。ただし、「新型コロナウイルス感染への懸念から接種を遅らせた」という理由が条件です。同様に、現在高校2年生女子については、令和2年1月6日〜3月31日の間に打てたはずの2回分について、上記の条件を満たせば公費による接種ができます。いずれも、接種実施医療機関にご相談下さい。

新型コロナ流行中の定期予防接種の期限延長

新型コロナウイルス感染症流行中は、通常は年齢で設定されている定期予防接種の期限が延長されます。期限切れの予診票を、そのまま医療機関へ提出して下さい(参照先)。

【対象となる予防接種】
令和2年1月6日以降に接種期限を迎えた定期予防接種

【延長期間】
流行がなくなってから2年以内(高齢者用肺炎球菌は1年以内)

ただし、以下のワクチンは年齢制限があります。

ロタウイルス延長なし
BCG4歳未満
ヒブ10歳未満
小児肺炎球菌6歳未満
四種混合15歳未満

せきの遷延化に関わる神経反射の過敏状態

せきの明らかな原因を認めず、通常の種々の治療にも反応せず、せきが遷延化することがあります。このような場合には神経を介したせき反射の過敏状態が存在すると考えられています。

せきの発生するメカニズムは、気道上皮にある受容体に物理的・化学的刺激が加えられると、求心性神経線維を介して脳の延髄にある咳中枢に信号が送られ、さらに信号が遠心性神経線維を経由して横隔膜や気管支平滑筋を収縮させてせきが起こります。せき受容体の本態は、温熱・機械的・化学的刺激により開口する数種類のイオンチャネル(温度感受性TRP*チャネルファミリー)です。TRPチャネルは求心性神経線維上にも存在し、せき発生に関与します。

せきの起こりやすい神経の過敏状態が、咳過敏性症候群(CHS)として提唱されています。CHSでは、TRPが寄与する求心性神経線維や中枢神経の過敏性が関与して、低レベルの温度・機械的・化学的刺激を契機として難治性のせきが生じやすい状態にあるとされます(参照先)。

せき反射の過敏状態を抑えてせきを減少させる方法として、求心性神経線維に作用する薬剤として漢方薬の麦門冬湯、抗ヒスタミン剤、遠心性神経線維に作用する吸入抗アセチルコリン剤などがあります。

*TRP: transient receptor potential

HPVワクチン接種中止により、日本ではどれだけの子宮頸がん死が発生するか

厚労省によるHPVワクチン接種の実質的中止が、8年に及ぼうとしています。この間、ワクチンを受けられなかったために発生する健康被害が明らかにされました(参照先)。

  • これまでの接種中止により、およそ5,000名の子宮頸がん死が予想される。
  • 現在の接種中止の放置により、さらに毎年700-800名の死亡が追加され続ける。

小児における生食鼻洗浄の効果

当院では、鼻吸引の際にあらかじめ生理食塩水の噴霧(ベビーミスト®)の併用を勧めています。この生食鼻洗浄の効果について最近のメタ解析が報告されていたので、内容を紹介します(参照先1)。

  • 3ヶ月〜12歳の小児を対象とした生食鼻洗浄を行った場合と行わない場合を比べたランダム化比較試験を検索した。
  • 4試験(569名)を抽出し、解析を行った。
  • 生食鼻洗浄の効果として、
    • 鼻症状の改善を認めたが、呼吸器症状、健康状態の改善は認めなかった。
    • 他の治療法の使用、特に抗菌薬の使用が減った。
    • 長期使用により、急性鼻副鼻腔炎および合併症の頻度を減らした。
    • 本法は安全な治療法である。

子どものかぜ症状の持続日数

子どものかぜはしばしば遷延します。集団保育や同胞の存在により感染を繰り返し受けると、治癒までの期間はさらに延長します。
これまでの研究報告(参照先1)によれば、小児の上気道感染症による鼻みずや咳の症状は発症10日後に50%、14日後に20%に認められ、かなり時間が掛かって治っていくことが分かります。
この疾患自然歴の途中で症状が悪化する場合や、改善せずさらに遷延化する場合には、抗菌薬の使用が考慮されます(参照先2参照先3)。

男性へのHPVワクチン接種の正式承認

2020年12月25日に4価HPVワクチンの男性への接種が正式承認されました。これにより、9歳以上の男性への任意接種が可能になりました。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、女性の子宮頸がんの原因だけでなく、性活動に関連して中咽頭がん、陰茎がん、肛門がんなど、男性もかかる悪性腫瘍の原因になります。中咽頭がんでは半分が飲酒・喫煙、半分がHPVによるものです。

しかし、HPVが原因となるがんは、ワクチン接種と検診を徹底すれば、社会から根絶できるターゲットと、具体的に考えられるようになってきています。

そのため、男性へのワクチン接種も重要です。現在、世界では4価HPVワクチンの男性への接種を77カ国が承認し、オーストラリア、アメリカ、イギリスなど24カ国で公費接種が行われています。女子だけでなく、男子への定期接種がふつうに行われるようになることを望みます。

ライノウイルスによる上気道および下気道炎症

ライノウイルスは春、秋に流行する鼻かぜの原因ウイルスです。このウイルスは気道上皮にあるICAM-1という分子にくっついて気道上皮内に侵入し、炎症反応を引き起こします(参照先1)。秋から冬にかけて乳幼児が鼻かぜ(上気道感染)に引き続き、喘鳴をともなう気管支炎(下気道感染)を起こしますが、ライノウイルスはRSウイルスと並んでその主な原因となります。ライノウイルスには沢山の種類があり、何度でも繰り返し感染を起こします。また、秋はダニのアレルゲン量が年間で最も多い時期でもあります。ダニアレルギーがあると通年で気道粘膜の炎症とそれに伴う損傷がありウイルス感染に対して元々脆弱になっており、ライノウイルス感染に伴いアレルギー性鼻炎や気管支喘息の急性増悪が起こりやすくなります。ライノウイルス感染に対しては、ステロイドの局所投与(点鼻薬、吸入薬)が有効です(参照先2)。

赤ちゃんの夜泣きへの対応

たまに相談を受ける内容です。長野県佐久医療センター小児科作成の参考になる資料を上げておきます(参照先)。
夜泣きが習慣的になって悩ましい場合、「はっきりした原因がないのなら、敢えて泣かせたまま放っておくようにすると、数日で夜泣きしなくなります」とアドバイスするようにしています。

インフルエンザワクチンの小児への効果

インフルエンザワクチンを打っていても、完全には予防できないことは事実ですが、小児における発症予防と重症化予防について日本からの最近の研究では、接種しない場合に比べて以下の効果が確認されています(参照文献1)。

  • A型、A(H1N1)pdm09型*で63%、77%、B型で26%発症を減らす。
  • A型、 A(H1N1)pdm09型で76%、90%入院を減らす。B型では入院を減らさない。
  • 生後6~11ヶ月では、接種による明らかな効果は認められない†。

また、インフルエンザワクチンの効果は接種2週間後から5ヶ月程度まで、とされています。

*A(H1N1)pdm09型: 2009年にパンデミックを起こした新型インフルエンザ
†日本で認可されているインフルエンザワクチンはスプリットワクチンというタイプで、原理的にインフルエンザ感染歴がある場合に免疫賦活が期待されるものです。そのためこれまで感染機会の無い乳幼児では効果は限定的です(参照文献2)。

インフルエンザワクチンの接種回数について

日本のインフルエンザワクチン接種は、添付文書にしたがって生後6ヶ月(又は1歳)から13歳未満は2回接種、13歳以上は1回接種のルールで多くは行われています。

しかし、WHOや米国では生後6ヶ月から9歳未満はそれまでの接種履歴がある場合は1回接種(無い場合は2回接種)、9歳以上はすべての場合に1回接種を推奨しています。

最近の日本での疫学データによれば、毎年流行の主体となるA型については1回接種の効果は2回接種と差がありません(ワクチン有効率 1回60% vs. 2回70%)(B型では2回接種>1回接種 [ワクチン有効率 1回−3% vs. 2回49%])(参照先)。このように毎年少なくとも1回は接種しておくことの必要性は国内外ともに認められています。2回接種にこだわらず、流行期に入ったあとでも1回でも接種しておくことをお勧めします。

インフルエンザワクチンと卵アレルギー

インフルエンザワクチンは、その製造過程において鶏卵で培養したインフルエンザウイルスを使用するためにごくわずかな卵由来のタンパク質が含まれています。そのため、かつては卵アレルギーがある人には接種回避を含む特別な配慮がなされてきました。この点について、2018年に米国アレルギー・喘息・免疫学会(ACAAI)が、2011年以降に発表された研究を検討し、卵アレルギーのある人に対するインフルエンザワクチンの安全性について以下の勧告を出しています(参照文献)。

  • インフルエンザワクチンに含まれている卵由来のタンパク質の量はごく微量(1回投与量あたり1μg未満)であり、たとえ重度の卵アレルギー患者であってもアレルギー反応を起こす可能性はない。
  • 卵アレルギーを持つ人が持たない人よりも、インフルエンザワクチンに対するアレルギー反応をより引き起こしやすいことはない。
  • 卵アレルギーのある人に対して、インフルエンザワクチン接種に際して特別な事前配慮(特別なワクチンの使用、接種後観察時間の延長、卵アレルギーの重症度による接種回避、など)は必要ない。
  • 卵アレルギーの有無について、接種前にあらかじめ確認する必要性はない。

当院はこの指針に沿い、卵アレルギーの有無や重症度によってインフルエンザワクチン接種に特別な制限や対処(例えば観察時間の延長)は設けない方針とします。

卵アレルギーのある方も、インフルエンザワクチンは安全に接種できます。ワクチンを積極的に受けられて、インフルエンザ感染による合併症を少しでも軽減することがより重要です。

妊娠中および出産後のインフルエンザワクチン接種

妊婦も、高齢者、乳幼児、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患のある人と並んで、インフルエンザ罹患により重症化しやすいことが知られています。妊娠中にインフルエンザに罹患して重症化し入院するリスクは、産後と比較して1.4〜4.7倍とされており、妊娠週数とともに増加します。また、妊婦罹患により自然流産、早産、低出生体重児、胎児死亡が増加します。
このため妊娠中はインフルエンザを予防することが特に重要ですが、最も有効な手段はインフルエンザワクチン接種です。現在、日本で使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、妊婦、胎児に対する悪影響は認められていません。
さらに、妊婦にインフルエンザワクチンを接種することで、出生児(生後6ヶ月まで)のインフルエンザ罹患率を減少させることも認められています。この効果には、胎盤を介した母体から胎児への免疫賦与の他、産後に母親がインフルエンザに罹り出生児にうつすのを抑えることも含まれます。結論として、妊娠中および出産後のインフルエンザワクチン接種は、妊産婦と出生児の双方に利益をもたらすと考えられます。

参照文献 日本産婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー産科編2017年 CQ102 63P

小児反復性急性中耳炎への十全大補湯の効果

2歳未満の急性中耳炎では、時に反復性となることがあります。その背景として、この年齢層では生理的に血中γ-グロブリン濃度が年長児や成人に比べて低値であり、これによる準免疫不全状態が関係していると考えられます。これまで、漢方薬の十全大補湯が小児反復性中耳炎に効果のあることは投与前後で比較した成績で認められていましたが、投与群と非投与群のランダム化比較の報告があったので紹介します(参照先)。

  • 87名の反復性急性中耳炎小児(6〜48ヶ月齢)を、十全大補湯投与を行う群(39名)と通常治療のみを行う対照群(48名)にランダム化
  • 3ヶ月間の投与期間中に、十全大補湯群は対照群に比べて急性中耳炎の回数が43%減少した(0.61±0.54 vs. 1.07±0.72回/月)
  • 同様に、鼻かぜの回数が29%、抗生物質投与日数が38%減少した

これらは当院においても、十全大補湯投与後に中耳炎が起こりにくくなるとともに、「かぜをひくことが減った」という保護者の方からの感想に一致する成績だと思います。

17歳未満の4価HPVワクチン接種により子宮頸がんは88%予防される

これまで、HPVワクチンは前がん病変を予防するが、子宮頸がん(浸潤がん)そのものの予防効果は証明されていないというワクチンの効果に対する懐疑的な意見が出されていました。一方、悪性度の高い前がん病変を高率に予防することから、子宮頸がんそのものの予防効果も期待されるという反論もありました。今回、この議論に決着を付ける研究成果がスウェーデンから報告されました(参照先)。

  • 2006年から2017年までの間、167万2983名の10〜30歳の女性を対象
  • 31歳0日までの子宮頸がんの発生を調査
  • 4価HPVワクチン接種者10万人あたり47名、非接種者10万人あたり94名に子宮頸がんが発生した
  • HPVワクチン接種により、全体で63%(17歳未満の接種では88%、17〜30歳の接種では53%)の子宮頸がん予防効果を認めた
  • 人口10万人当たりの子宮頸がん患者数:図の橙色で示されるワクチン非接種の場合のがん発生数に比べて、青色で示される17-30歳でワクチン接種を受けた場合、緑色で示される17歳未満で接種を受けた場合のいずれも減少している
参考グラフ

今回の研究成果により、特に若い世代に4価HPVワクチンを接種することで、最近増加しているAYA世代の子宮頸がんに対する高い予防効果が期待されることが確認されました。

HPVワクチンについての分かりやすい最新の解説

米国国立研究機関 峰宗太郎先生による、HPVワクチンに関する2020年1月時点の最新情報です。正確かつ丁寧に分かりやすく記載されており、一般向けの解説として決定打だと思います。延べ4回の連載記事です。

第1回 今さら聞けない!1からわかるHPVワクチン

第2回 HPVワクチンをめぐる12個の作り話をファクトチェック 「危険?」「効果がない?」(前編)

第3回 HPVワクチンをめぐる12個の作り話をファクトチェック 「HANSは?」「男子は必要ないの?」(後編)

第4回 メディア、政治、行政、医療者の責任は? 日本でなぜHPVワクチンはうたれなくなったのか

ロタウイルスワクチンの定期接種開始(2020年10月から)

ロタウイルスワクチンの定期接種の対象となるのは、2020年8月1日以降に生まれたお子さんです。
当院では原則として2回接種の1価ワクチン(ロタリックス®)を使用します。3回接種の5価ワクチン(ロタテック®)は当院インターネットサイトからの予約はできませんが、希望される場合には電話で御連絡下さい。
ロタウイルスワクチン接種後には稀に腸重積症の発症が認められることがあります。その多くは初回接種後の主に1週間以内(最長3週間以内)に起こります。自然発症の腸重積が起こりにくく安全性の高い、生後2ヶ月で初回接種を始めるようにして下さい(生後15週0日以降の初回接種施行はできません)。
乳児期早期の腸重積は診断が通常困難で、積極的に疑うことが重要です。以下のうち、一つでもあればすぐに受診して下さい。

  • 嘔吐を繰り返す
  • 泣いたり不機嫌になったりを繰り返す
  • ぐったりして元気がない
  • 粘血便(粘液と血が混じったような便、イチゴゼリー様)がでる

異なるワクチン接種間隔の制限撤廃(2020年10月以降)

以下のように改訂されます。

  • 「異なる注射生ワクチン(MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチン、BCG)の接種間隔は27日以上」は現行のまま
  • 異なるワクチンの以下の組み合わせで、接種間隔の制限無し
    ◇ 不活化ワクチン−不活化ワクチン
    ◇ 生ワクチン(注射、経口)−不活化ワクチン
    ◇ 経口生ワクチン−注射生ワクチン

これにより、インフルエンザワクチンが、他のワクチンとの間隔を気にしないで接種できるようになり、接種スケジュールがより柔軟に決められるようになります。

生後1ヶ月からの少量粉ミルク摂取が牛乳アレルギーを予防する

生後1ヶ月から普通粉ミルクを少量ずつ毎日摂取させると、牛乳アレルギーの発症を予防できるという日本からの報告です(参照先)。

  • 新生児504人を、生後1および2ヶ月齢の間、粉ミルク10mL/日以上摂取する群(摂取群)と、粉ミルクを摂取しない群(回避群)にランダムに割り付け
  • 摂取群では粉ミルク上限量は設定せず、母乳との併用は許可するが、低アレルゲンミルク(加水分解物やアミノ酸乳)は使用しない
  • 回避群では、粉ミルクを避け、必要な場合には大豆ミルクで母乳を補充
  • 生後3ヶ月以降は、両群とも母乳育児を推奨しながら必要な量の粉ミルクを併用
  • 生後6ヶ月の時点で、牛乳アレルギーの発症を評価するため経口負荷試験を実施
  • 牛乳アレルギーの発症は、摂取群0.8%(2/242)に対し、回避群6.8%(17/249)で、摂取群で有意に少なかった

この内容は、「生後1ヶ月からの少量粉ミルク併用により、母乳栄養を阻害せずに牛乳アレルギーが予防できる」という、画期的な研究成果と言えます。

マスクによる新型コロナ重症化を抑える効果の仮説

国立国際医療研究センター忽那先生による興味深い論考です(参照先)。
マスクによる濾過効果で、ウイルスを含んだ飛沫の量、ウイルスそのものの曝露量を減らすことができ、重症化を抑えるという仮説です。もし本当であれば、最近の主な感染経路となっている家庭内感染に対して、「家の中でもマスク」が有効かも知れません。また、マスクを外さざるを得ない条件(食事中など)では、それ以外の対策を加えることが重要となります。

アトピー性皮膚炎で掻かないようにするには

痒みはアトピー性皮膚炎の主要な症状です。痒みに対して掻爬すると、表皮の障害に続く一連の反応の結果、最終的にTh2リンパ球からサイトカイン(IL-4, IL-13, IL-31)の分泌を招き、これらが皮膚の神経線維に働いてさらに痒みを増すという、痒み→掻爬→痒み増大の悪循環が成立します。したがって、掻爬防止対策はアトピー性皮膚炎の治療上重要な柱です。以下のようなものがあります。

  1. 爪をまめに切り、ヤスリで磨く
  2. チクチクしない肌着を選ぶ(綿を着て、毛を避ける)
  3. 寝ている間、暖まり過ぎないような厚さに衣類、布団を調節する
  4. 掻爬防止用の手袋を使う
    掻爬防止用2重手袋(https://www.wanwanbaby.com/mitten/about/)がアマゾンで購入できます。また、チクチクしない綿の子ども用靴下でも代用できます。手袋を取ってしまう場合には、衣類の袖に幅広のサージカルテープで固定します。
  5. 頭髪を短くする、束ねる
    頭髪があたる部位(額、首、肩)の皮膚は刺戟されて掻きやすくなります。あたらないような髪型にして下さい。
  6. 痒み止めを使用する
    飲み薬であれば抗ヒスタミン剤を使用します。最近、痒み止めの効果が期待できる塗り薬(コレクチム®)が使えるようになりました。

ウイルス性疾患罹患後のワクチン接種のタイミング

ウイルス感染による免疫能の一時的低下の有無、体内に残存する感染ウイルスによる生ワクチンウイルスへの干渉作用等により、ワクチンの効果に影響するかにより間隔は変わります。不活化ワクチン、生ワクチンとも、報告されている基準は以下です。

かぜ、手足口病、伝染性紅斑、突発性発疹症治癒後1〜2週間
風疹、おたふくかぜ、水痘治癒後2〜4週間
麻疹治癒後4週間

参照先 予防接種に関するQ&A集2019 P16

新型コロナウイルスの家庭内感染予防対策

新型コロナウイルス感染症の市中拡大の原因として、家庭内感染が重要な経路になっています。この疾患は、はじめは軽い感冒様の症状であることが多く、症状から他の感染症と区別することはほとんど不可能です。
家庭内で感冒様症状の方が出た場合、積極的な感染予防対策を取ることが、今後は必要になります(参照先1参照先2)。

  • 症状のある方
    • 自宅で安静にして、外出しない
    • 体温を毎日記録する
    • マスクと手洗いをする
    • 下痢があるときは入浴を避けるか、最後に入浴する
  • 家族の方
    • 体温を毎日記録する
    • マスクと手洗いをする
    • 症状のある人とは部屋を分ける
    • 看病する人は一人に限定する
    • 飛沫が発生する処置(鼻吸引など)を症状のある人にする際は、マスク、眼の保護(安全メガネ、ゴーグル等の装着)、手袋をする
  • 食事
    • 一緒に食卓を囲むのでなく、時間をずらす、テーブルを分ける
    • 食事は大皿でなく、個々の皿に取り分ける
  • 換気と掃除
    • クーラーや暖房を使用中であっても定期的に換気する
    • 皆がよく触れる場所(ドアノブ、電気のスイッチなど)は定期的に消毒する

PCR検査を全員にやると何が起こるか 再々考(8月15日記載)

PCR検査に関するメディアの扱い方をみると、「PCR検査を希望する全員に受けさせるべき」というものがこれまで多かったように思います。一方、最近はPCR検査の感度70%という点を取り上げて、「感染者のうち3割は陰性に出てしまう。従って、本当は陽性である“陰性者”が安心して動き回り、人にうつすかもしれないことが問題」と主張するものが出てきました。その主張(8月15日朝 日本テレビ “ウェークアップ!” 辛坊治郎キャスターの発言)が正しいか、検証してみました。

番組中の仮定:
新型コロナウイルスの有病率 0.1%
検査感度 70%  特異度 99.9%

計算の結果(参照先):
検査陽性に出た場合の真の有病確率  41.2%
検査陰性に出た場合の真の有病確率  0.03%

したがって、有病率0.1%(1,000人に1人が罹患)では、陰性にでた場合99.97%は正しく陰性であり、番組が危惧するようなホントは陽性なのに陰性と出てしまうのは10,000人陰性となったうちの3人程度のごくわずかな頻度ということになります。
逆に、陽性に出ても偽陽性(本当は病気でない)であるのが100-41.2=58.8%もあります。かりに検査を3回繰り返して感度を97.3%に向上させても依然50%の偽陽性が含まれ、有効な対策にはなりません。

以上より、有病率0.1%程度であれば、症状、周囲の感染状況、医師の判断などから感染している可能性がありそうな人に絞りこんで検査を実施、というのが正しい方針だと思います。一方、有病率が0.5〜1%を超えるような状況になれば、検査の適応基準をより緩くして、もっと広く実施するのが適切になります。

アトピー性皮膚炎の新しい治療薬:JAK阻害薬デルコシチニブ(コレクチム®)

痒みはアトピー性皮膚炎の主な特徴の一つです。正常では皮膚の真皮層にとどまる神経C線維末端が、アトピー性皮膚炎では表皮内にまで伸長し、種々の刺戟に対して反応し易くなっています。この神経末端には、ヒスタミンの他、IL-4, IL-13, IL-31などのサイトカインが作用して痒みを発生します。これまでアトピー性皮膚炎の痒みを抑える治療薬としては、抗ヒスタミン剤(内服、外用)しかありませんでした。
サイトカインは主に免疫系細胞から分泌されたあと、種々の標的細胞表面の受容体を介して作用を発揮しますが、このサイトカイン受容体から細胞内へのシグナル伝達を司るのがJAK/STAT系です。デルコシチニブは、JAKファミリー(JAK1, JAK2, JAK3, Tyk2)の全てのリン酸化を抑制することでSTATのリン酸化も抑制し、サイトカインに対応する核内の遺伝子群の転写を抑制します。
デルコシチニブは、0.5%製剤の16歳以上に対する使用が2020年1月に承認され6月から販売されました。2〜15歳についても安全性・効果の確認がすでに済んでいて、追加承認が待たれています。小児用低濃度製剤として0.25%製剤も承認申請がされています。デルコシチニブは、1日2回の塗布による治療開始24時間以内に痒みの抑制が認められ、以後この効果は持続します(参照文献)。タクロリムス(プロトピック®)のような使用開始時の刺激感が無く、特に掻爬行動が主要な治療阻害因子と考えられる場合に高い抑制効果が期待されます。

予防接種の補償制度:定期接種と任意接種の違い

予防接種後に健康被害が発生した際、「予防接種によって起こったものでは無い」ことが明らかでない限り、因果関係が疑わしいものも含めて救済の対象になります。
救済措置の給付額は、定期予防接種の場合、最高額(死亡の場合)で4,420万円(令和2年4月現在)支給されます。一方、任意接種の場合では、PMDA(医薬品医療機器総合機構)による制度で死亡の場合737万円余りです。このように、定期接種と任意接種では補償額に大きな開きがあります。任意接種については定期接種と同時に受けることで、定期接種に適応されるより高額の補償が受けられるため、できるだけ定期接種との同時接種をお勧めします。

5歳未満小児の新型コロナウイルス量は大人の10〜100倍多い

米国シカゴ小児病院からの報告(参照先

  • 軽症・中等症患者145名(5歳未満46名、5〜17歳51名、18〜65歳48名)の鼻咽頭擦過PCR検査を実施
  • 5歳未満のウイルスRNA量は、大人の患者のおよそ10〜100倍多かった

新型コロナウイルス感染症の小児は、ほとんどが軽症までにとどまることが知られていますが、今回の研究から軽症・中等症小児が周囲へのより強い感染源となる可能性が示唆されました。今後、流行蔓延期に軽症感冒様症状の幼児をみた場合、積極的PCR検査による感染者の発見、家庭での感染防止策(家族全員のマスク使用)、園への出席停止の重要性を示唆していると思います。

新型コロナ感染者の約4割は無症状でウイルス量も多い

イタリアのある自治体(人口3,275名)で2020年2月に住民全体に行った集団検査の報告です(参照先)。

  • 鼻咽頭擦過PCR検査を2回(初回・ロックダウン初期、2回目・ロックダウン終了時;平均間隔7.2日)実施
  • 人口に対する実施率:初回85.9%, 2回目71.5%
  • 陽性率:初回2.6%, 2回目1.2%
  • 感染患者の42.5%は無症状(かつその後の発症も無し)
  • ウイルス量は、有症状と無症状の患者間で差が無かった

新型コロナウイルス感染症の半分近くは無症状で、しかもウイルス量は症状のある場合と変わらないという、強い感染伝播力の背景にある特性が示されています。

喘息吸入薬フルティフォーム®:小児適応の開始

これまで小児の喘息吸入薬で、ステロイドと長時間作用型気管支拡張剤の合剤はアドエア®しかありませんでした。令和2年6月29日から、フルティフォーム®が小児(0歳〜)の適応になりました。
フルティフォーム®は、ステロイド成分はアドエア®と同じフルチカゾンですが、長時間作用型気管支拡張薬の成分がホルモテロールで、アドエア®で用いられているサルメテロールよりも気管支拡張作用において即効性があります。従って、喘息発作時に使用すると、 メプチンキッドエアー®を併用したようなより早く発作が抑えられる効果が期待できます。
使用方法は、これまでアドエア®で用いられていたスペーサを併用する方法、あるいは直接吸い込む方法があります。フルティフォーム®はアドエア®に比べて薬剤の放出速度がゆっくりで、スペーサを用いなくとも小児でも上手く吸えるようになります。

新型コロナウイルス感染症とIL-6, CRP

IL-6は感染や組織障害の際にTリンパ球、マクロファージなどで産生される代表的な炎症性サイトカインです。IL-6は新型コロナウイルス感染症の重症例で顕著に増加し、サイトカインストーム機序による重症化に強く関与します。一方、CRPはIL-6の刺戟により肝臓で作られ、IL-6の「代理マーカー」とされ、末梢血液の外来迅速検査で簡単に調べられます。新型コロナウイルス感染症は発症第2週以降に急激に重症化するため、発熱持続例ではこの前にCRPの増大(2.5mg/dl以上)を確認することが、リンパ球の減少(1,000/μL以下)とともに重症化の予測に有用である可能性があります(参照先)。

突発性発疹症

初夏の頃によく見られ、38〜40℃の高い熱が3〜5日程度続き、解熱の前後に全身に発疹(ピンク色の小紅斑丘疹)が多発して診断されます。以下のような特徴があります。

  • 原因となるウイルスはHHV-6, HHV-7(ヒトヘルペスウイルス6,7)
  • 生後7ヶ月〜2歳未満(ときには2歳台)にかかることが多い。
  • 2回繰り返すことがある(初回HHV-6、2回目HHV-7が原因)。
  • 下痢、大泉門の隆起、瞼の腫れ、リンパ節腫大を伴うことがある。
  • 発熱早期に口蓋弓上部の両側に小さな赤い隆起(永山斑)を認め、発疹前に疑われることがある。
  • 発熱初期に熱性けいれんを合併することがあるが、ほとんどは予後良好
  • ただし、解熱数日後に再び重症のけいれん(群発けいれん)を起こすことがある。「二相性けいれん」として知られ、神経学的後遺症を残すリスクが高い。
  • HHV-6, HHV-7は小児の急性脳炎・脳症の原因としてはインフルエンザウイルスに次いで多く、“極端に機嫌が悪い、意識状態が普段と違う”などでは注意が必要

新型コロナウイルス感染症による重症小児例の臨床像

新型コロナウイルス感染症の重症化は小児では成人に比べて少ないとされていますが、どのような場合に重症化を疑うのか、認識しておく必要があります。最近(2020年6月8日付け)の米国からの報告(参照先)では、以下の特徴が記されています。

小児重症例全員(17人)に中央値で5日間の発熱があり、14人に消化器症状(うち1人は画像検査で回結腸炎)があった。皮膚粘膜に変化が見られた患者が多かった(発疹12人、結膜炎11人、口唇発赤/腫脹9人)。3人は受診時に低酸素状態、13人はショック状態だった。14人は胸部異常陰影(最多は両側間質のすりガラス像)を認めた。8人が川崎病の診断基準に合致し、5人は不全型川崎病の基準を満たした。

8人はPCR検査で陽性、9人は血清学的検査で陽性だった。炎症マーカーはすべての患者で上昇していた。12人がリンパ球減少症、11人は好中球の左方移動、14人はトロポニンT値の上昇、15人はNT-proBNP値の上昇が見られた。重複感染は少なく、陽性は3人のみだった(EBV、パルボウイルス、A群レンサ球菌)。

血清IL-6は16人で上昇していた。8人のサイトカイン・プロファイルでは、全員でIL-2R、IL-18、CXCL9の上昇、3人でIFN-γの軽度上昇、2人でIL-8のわずかな上昇が見られた。TNF-α、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-13のレベルは正常域にあった。

新型コロナ・クラスター形成の1次感染者の特徴

厚労省クラスター対策班による報告です(参照先)。国内で確認された61クラスターのうち、クラスターの原因となった1次感染者22名が確認されました。この特徴は以下です。

  • 11例(50%)は20〜30歳代
  • 9例(41%)はクラスター発生時には無症状ないし発症前

クラスター形成する1次感染者の主体は若者であり、年齢に関わらずクラスター発生時には無症状、ないしは発症前であることを示しています。このことは、症状のある人にねらいを絞って集団から隔離しようとすることが、クラスター予防対策としては的はずれであることを示唆しています。

アトピー性皮膚炎と虫除け剤

虫除け剤の成分は、ディート、イカリジン、天然植物由来、の3種類に大別されます。このうち、皮膚への刺激性、有効性、安全性の点からアトピー性皮膚炎の小児に推奨できるのはイカリジンです。
イカリジンには濃度5%と15%の2種類の製品があり、持続時間は5%が6時間程度、15%は5〜8時間程度です(参照先)。ディートと異なり年齢による使用制限、回数制限がありません。ただし、効果があるのは蚊、ブユ、アブ、マダニに限られるので、使用する条件を考慮する必要があります。

アトピー性皮膚炎と日焼け止め

アトピー性皮膚炎の治療中に、日焼け止めの使用をきっかけに皮膚炎が悪化することが時々経験されます。
日焼け止めは、紫外線を散乱させる成分(紫外線散乱剤=チタンや亜鉛などの金属)を含んだ製品と、紫外線を吸収する成分(紫外線吸収剤=化学物質)を含んだ製品に大別されます。このうちかぶれやすいのは後者の化学物質(紫外線吸収剤)を含んだものです。157名小児の検討ではこれら化学物質に対して光パッチテスト陽性(6.4%)あるいは接触アレルギー(5.7%)を示したとされています(参照先)。
アトピー性皮膚炎の場合、日焼け止めは使わずサンシェード(日除け)の使用で済ますか、かりに使う場合にはノンケミカルの紫外線散乱剤を含んだ製品の使用をお勧めします。

小児では鼻粘膜のACE2発現量が低い

鼻粘膜のACE2は、新型コロナウイルスが人体へ侵入する際の最初の入り口となる場所です。年齢毎の鼻粘膜ACE2遺伝子発現を調べた研究(参照先)では、成人に比べて小児では若くなるほどACE2発現量が低いことが分かりました。このことが、小児では新型コロナウイルス感染が起こりにくい原因である可能性があります。

小児の新型コロナウイルスと他の病原体の混合感染

小児の新型コロナウイルス感染症では他の病原体との混合感染がしばしば認められます。ある報告によれば、マイコプラズマ、インフルエンザ、RS、サイトメガロなどが本症患者の5~20%の頻度で認められました(参照先)。したがって、他の病原体が検出されたからと言って、新型コロナウイルス感染が否定的ということにはなりません。

自宅での尿検体のとり方

学校の健診で血尿や蛋白尿などの異常が見つかり、医療機関での再検査が求められる場合があります。この際、「早朝第1尿」の提出を原則としてお願いしています。この目的は、就寝中の臥位で膀胱に溜まった尿を検査して、より正確な結果を得るためです。立位をとると、上腸間膜動脈起始部の下方への屈曲が強まり、背側にある大動脈との間で左腎静脈が挟まれて腎臓の血流がうっ滞し、病気のある無しにかかわらず血尿や蛋白尿がより出やすくなります。
検体を提出する前の日は、寝る直前にトイレに行って膀胱を空にして下さい。このことで、早朝第1尿に含まれる前日の立位で溜まった尿の影響を減らすことができます。

新型コロナウイルス蔓延期に小児の医療アクセスをどう維持するか

日本では諸外国に比べて医療へのアクセスが格段に優れ、小児疾患の軽症化に寄与してきました。しかし、新型コロナウイルスの感染リスクを心配して小児の受診手控えが急速に拡大しています。このため、アクセスの低下による重症化のリスクが高まっています。
家庭での患児の状態を把握するため、対面診療の代替手段として遠隔診療を積極的に活用する意義が高まっています。臨時的措置として令和2年2月28日からは慢性疾患に対する電話再診、4月13日からは遠隔による初診が認められました。受診による感染リスクを抑えながら患児の重症化を防ぐため、電話、テレビ電話などの情報通信機器を用いた診療の役割が期待されます。

PCR検査を全員にやると何が起こるか 再考(4月5日記載)

3月8日の記事で「極端に有病率の低い場合には、CT等で原因不明の肺炎が認められる場合の原因検索など、医療的に必要な場合に限って用いるのが適切と思われる」と述べました。しかし、その後都内の患者数は急速に増加し、4月5日現在、1日あたり患者数は130名に達しました。そこで再度PCR検査の精度を推定しました。
潜伏期の中央値は5日なので、感染から発症に至っていない分を含めた患者数は5×130=650名いると仮定します。また推定患者数は前回と同様に大きめに見積もり、この数の100倍とします。

PCR検査の精度:感度70% 特異度99.9%
都内の推定患者数:65,000名
都民の人口:1,000 万人

今回の計算の結果では、検査が陽性になった場合、本当に新型コロナウイルス感染症である可能性は82%になります(結果参照)。今後はPCR検査を感染者の周囲接触者や臨床的な疑い例について積極的に行うことで、かなり正確に感染者の検出ができると思われます。

物に付着した新型コロナウイルスの感染力維持時間

物の表面に着いたウイルスが、どのくらいの時間、感染力を維持しているかの報告です。手の触れやすいドアノブ、手摺り、スマートフォン、おもちゃや本などの取扱いをする上で参考になります(参照先図1)。

エアロゾル3時間
プラスチック72時間
ステンレススチール72時間
厚紙24時間
銅板4時間

小児における新型コロナウイルス感染症の年齢別臨床像

中国の武漢小児病院からの報告をまとめました(数値は例数)。(参照文献補足データ

  • 新型コロナウイルス感染症の確定例または疑い例に濃厚接触のあった小児1,391のうち、171(12.3%)が罹患した。
  • 年齢中央値は全体(171)6.7歳、このうち無症状(27)9.6歳、上気道感染症(33)3.9歳、肺炎(111)5.9歳だった。
  • 0歳(31)では、無症状0(0%)、上気道感染症6(19%)、肺炎25(81%)だった。
  • 1−5歳(40)では、無症状1(2.5%)、上気道感染症12(30%)、肺炎27(67.5%)だった。
  • 6−15歳(100)では、無症状26(26%)、上気道感染症15(15%)、肺炎59(59%)だった。

新型コロナウイルス感染症の統計データ参照先

新型コロナウイルス感染症の統計データは米国のジョーンズ・ホプキンス大学のサイト(参照先1)がよく引用されます。より詳細なデータが参照できる別のサイト(参照先2)では、予後の確定した最終的な死亡率が示されます(3月31日時点で19%)。
国内のデータでは、東京都のサイト(参照先3)、地域別の感染症病床利用率のサイト(参照先4)が参考になります。

新型コロナウイルス感染症の総説

国立国際医療研究センターの忽那先生による総説です(参照先)。掲載時点(3月8日)の最新情報がコンパクトにまとめられています。また、ウイルス学的特徴の優れた解説が、富山大学医学部名誉教授の白木先生によりされています(参照先2)。

子どもも同じように新型コロナウイルスに感染するらしい

9歳以下の子どもたちでは、10歳以上に見られる重症化はほとんど認められないが、濃厚接触時の感染率は他の年齢層と変わらない7~8%である、という査読前の研究報告がなされました(参照先参照文献)。本当であれば、感染拡大防止策を考える上で重要な知見です。

PCR検査を全員にやると何が起こるか(3月8日記載)

新型コロナウイルス感染症に対するPCR検査の保険適応が3月6日から認められました。そのため、無症状や風邪症状の際にスクリーニングでこの検査を希望される方がいるかもしれません。仮に都民全員に検査を実施したら何が起きるかを予想してみました。以下の仮定で計算してみます。

PCR検査の精度:感度70% 特異度99.9%
都内の推定患者数:現在報告数の58名を大きめに見積もり、その100倍として5,800名
都民の人口:1,000万人

計算の結果では、検査が陽性になった場合、本当に新型コロナウイルス感染症である可能性は28.9%にしかなりません(結果参照)。逆に71.1%は、結果が陽性であってもこれ以外(健康体や通常の感冒、インフルエンザなど)になります。すなわち検査陽性10人のうち7人は、新型コロナウイルス感染症でないのに、長期の入院や隔離を強いられることになります。通常はこのように特異度の優れた検査は、陽性にでた場合の信頼度は高いとされていますが、極端に疾患の頻度(有病率)が低い場合には、このようなことが起こります。少なくとも現状のように新型コロナウイルスの患者発生数がまだ限られている条件では、PCR検査を片端からやっても、不必要な入院・隔離や医療体勢の疲弊、資源の浪費を招くだけになります。現時点では、CT等で原因不明の肺炎が認められる場合の原因検索など、医療的に必要な場合に限って用いるのが適切と思われます。

勤労者が知っておくべき新型コロナウイルス10の対策

国際医療福祉大学 公衆衛生学 和田耕治先生による記事「産業医が知っておくべき10の対策」は、そのまま私たち勤労者全員が知っておくべき有用な情報と思いますので紹介します。

アデノイド、口蓋扁桃摘除術により上気道感染症やアレルギー疾患にかかりやすくなる

アデノイド、口蓋扁桃の摘除手術は、小児の睡眠時無呼吸や反復性中耳炎に対する治療としてときに行われます。これら免疫器官の小児期の摘除が、その後の感染症やアレルギー疾患のかかりやすさに長期的にどう影響するか、を明らかにした研究がデンマークから報告されたので紹介します(参照先)。

  • 1,189,061名(1979~1999年出生)の小児を2009年まで10~30年間経過観察
  • 9歳までのアデノイド・扁桃摘除を受けた群(総数60,667, 5.1%; アデノイド17,460, 1.5%; 扁桃1,1830, 1.0%; アデノイドと扁桃31,377, 2.6%)と受けなかった群(1,128,394, 94.9%)に分け、摘除後の疾患発生頻度を両群で比較検討
  • 上気道感染症の罹患リスクは、扁桃摘除で約3倍、アデノイド摘除で約2倍増大
  • アレルギー性鼻炎および結膜炎のリスクは、アデノイドまたは扁桃摘除で約1.5倍増大
  • 慢性閉塞性肺疾患のリスクは、アデノイド摘除で2倍増大
  • 睡眠時無呼吸はアデノイド摘除により約1/3、扁桃炎はいずれかの手術で約1/10-1/2、リスクが減少
  • これに対して、呼吸異常はいずれの手術でも改善なく、慢性副鼻腔炎はアデノイド摘除で2倍、中耳炎はいずれかの手術で約2-5倍、リスクが増大

以上から、アデノイド、扁桃摘除術により、呼吸器疾患、感染症、アレルギー性疾患の長期的罹患リスクが増大しました。また、手術目的とされた病態では、睡眠時無呼吸や慢性扁桃炎では改善効果を認めたが、中耳炎や副鼻腔炎ではかえってリスクが増大することが示唆されました。

牛乳アレルギーで使用できない吸入薬

吸入するタイプのお薬で、以下のドライパウダー製剤には添加物に乳糖が使われており、添付文書中に牛乳アレルギー患者には禁忌である旨が記載されています。このような場合には、エアゾール製剤や経口薬に変更する必要があります。医療機関から薬を処方される際にはご注意下さい。

  • 気管支喘息治療薬・慢性閉塞性肺疾患治療薬
    フルタイドロタディスク、ディスカス
    アドエアディスカス
    レルベアエリプタ
    アノーロエリプタ
    セレベントロタディスク、ディスカス
    アズマネックスツイストヘラー
    スピリーバ吸入用カプセル
    シムビコートタービュヘイラー
  • インフルエンザ治療薬
    リレンザ
    イナビル吸入粉末剤

新型コロナウイルス感染症に個人ができる予防策

米国CDCの提唱する個人対策を挙げておきます(参照先)。

  • 頻回の手洗い:石鹸と水で少なくとも20秒以上かけて洗う。代わりにアルコール手指消毒剤の使用も可。
  • 洗っていない手で、目、鼻、口を触らない。
  • 具合の悪い人に、密な接触をしない。
  • 具合が悪い時は、積極的に自宅で休む。
  • 咳やくしゃみはティシューか袖で覆う(手を使わない)。
  • 触った物や表面は、頻回に消毒する。
  • 布製マスクの使用方針
    ◇ すべての人は感染を周囲に広げないために、公衆の場では布製のマスクをつける
    ◇ 2歳以下、呼吸障害がある、意識障害がある、マスクを自力で外せない、などの場合には布製マスクをつけない
    ◇ 医療従事者は布製マスクを使わない
    ◇ マスクを着けていても1.8m以上の距離を他人とおく

当院でもこの指針に沿い、咳やくしゃみのある方の来院時マスク装着、受付時のアルコール手指消毒、職員のフェースガード付きマスク使用を推進しています。

フェニルケトン尿症とアスパルテームを含む薬剤

フェニルケトン尿症(Phenylketonuria:PKU)とは、必須アミノ酸であるフェニルアラニンの代謝を行うことができない疾患です。先天性のアミノ酸代謝異常症では最も多く、8万人に1人ほどの割合とされています。PKUでは体内にフェニルアラニンが蓄積し、血液脳関門が成熟していない乳児期には精神遅滞の原因となり、成人期においても様々な精神症状を引き起こすことがあります。したがって、PKUにおいては生涯に亘って、フェニルアラニンの摂取量を厳格に制限することが必要です。

アスパルテーム(L―フェニルアラニン化合物)はショ糖の100~200倍の甘さを持つ人工甘味料です。アミノ酸由来の化合物で、フェニルアラニンとアスパラギン酸が結合した構造をしています。経口摂取されたアスパルテームのうち大部分は、代謝も分解も受けずにそのまま排泄されますが、一部は分解を受け、フェニルアラニンになることが予想されます。そのため、PKUの患者さんには、アスパルテームの使用は避けることが望ましいとされています。

アスパルテームは甘味料として低カロリーの飲料や食品に広く利用されているほか、薬剤の添加物として、OD錠、ドライシロップ、シロップ、細粒、などにしばしば使用されています。PKUの患者さんに対して、添付文書上、慎重投与と記載されたものには、アレジオンドライシロップ、クラバモックス小児用配合ドライシロップ、イーケプラドライシロップ、カイトリル細粒、禁忌としてはエレンタールP乳幼児用配合内用剤などがあります。

気道粘液過剰に対するマクロライド系抗菌薬の抑制作用

鼻腔、副鼻腔、上咽頭、喉頭、気管、気管支の表面を覆う気道上皮は、大部分が線毛細胞からなり、一部に杯細胞が混在しています。杯細胞は粘液を分泌し気道表面を満たし、線毛細胞は線毛の運動により粘液を口側へ移動させ、気道上の異物を排出するように働きます。正常では線毛細胞10に対して杯細胞1の割合で存在しますが、気道炎症が続くと、線毛細胞が脱落し、代わりに杯細胞が過増生し、杯細胞からの粘液産生自体も亢進するため、粘液の過剰状態が起こります。杯細胞の過分泌、過増生は、慢性副鼻腔炎や気管支喘息など種々の病態で認められ、粘液貯留による局所的感染や気流制限などにより病態に悪影響を及ぼします。マクロライド系抗菌薬は通常の抗菌作用を示す量よりもずっと少ない量で杯細胞の過分泌、過増生を抑制し、粘液の過剰状態を是正します。臨床的にはマクロライド少量療法として、びまん性汎細気管支炎や慢性副鼻腔炎などの治療に用いられ、高い効果を上げています。

HPVワクチンは2価であっても劇的な効果がある

2価ないし4価HPVワクチンについて、①HPV16/18型感染による子宮頸がんは全体の65%に過ぎないので、有効性はあまり期待できないだろう、②予防効果は、前がん病変についてだけで、頸がんそのものについては証明されていない、という懐疑的な意見はこれまでよくありました。
これに対し、①については、AYA世代女性の子宮頸がんでは16/18型によるものが90%近くを占めるのでもっと高い効果が期待される、②については、前がん病変は発見された時点で倫理的観点から切除されてしまうので、その後進展する頸がんの予防効果は確認するのは難しい、という反論がされてきました。
この議論に関連して、2価ワクチンの劇的な効果を示した研究成果がスコットランドから報告されたので紹介します(参照先1)。

  • 1988〜1996年に生まれた138,692名の女性を対象
  • 2価HPVワクチンを使用
  • 1988〜90年生まれにはワクチン接種なし、1991〜94年生まれには14歳以上でキャッチアップの接種、1995/96年生まれには12/13歳で接種(接種率87-89%)
  • いずれも20歳時に擦過細胞診、組織診の検診を施行し悪性度を診断
  • 12/13歳でのワクチン接種は、接種なし(1988〜90年生まれ)に比べて、CIN 3(高度異形成、上皮内がん)およびそれ以上の病変(腺がん、扁平上皮がん)の発生を89%減少
  • 12/13歳ワクチン接種者と同一年齢の未接種者についても、CIN 3およびそれ以上の発生が激減

CIN 3は、CIN 2以下の炎症性病変とは異なり、子宮頸がん一歩手前の前がん病変です。経過観察により浸潤がんに進展する率が自然退縮する率を上回るため、浸潤がんを予測する最適な指標です。CIN 3は、円錐切除術あるいは子宮全摘手術による積極的手術治療の対象になります(参照先2)。したがって、HPVワクチン接種によりCIN 3を予防できれば、円錐切除術以上の外科的侵襲ならびに浸潤がん発生の双方を回避することができます。
今回の研究は、効果が劣ると揶揄されてきた2価ワクチンを12/13歳で接種すると、20歳時の子宮頸部前がん病変が極めて効果的に予防されることを明らかにしました。さらに、ワクチン接種率が高いと同世代の未接種者にも広く恩恵が及ぶことを示しました(集団免疫効果)

インフルエンザ脳症

インフルエンザの最も重い合併症がインフルエンザ脳症です。インフルエンザ脳症はインフルエンザ経過中に急性発症する意識障害を主とする症候群で、発熱後1日以内にほとんどが発症します。病理学的に脳内にはウイルス抗原は認められず、炎症性細胞の浸潤はありません。病態としてインフルエンザ感染に対する免疫系の過剰反応が本態であり、全身のサイトカインストーム=血中IL-6、TNF、IL-10などの炎症性サイトカインの上昇が起こり、血管内皮細胞障害、末梢血単核球の活性化、血液脳関門の破綻、血漿成分の組織漏出や高度の脳浮腫が生じます。

日本全国の最近疫学データは次のとおりです。(参照先)。

  • 発生頻度(人口100万人当たり):小児2.83人、成人0.19人
  • 年齢別発生頻度:2〜4歳にピーク(3.8-6.0人)
  • 死亡率:小児8%、成人14%(65歳以上では20%)
  • 後遺症発生率:小児16%(うち重度が8%)

主な症状は、けいれん、意識障害、異常言動・行動で、もし認められたら躊躇無く直ちに医療機関を受診して下さい。インフルエンザワクチン接種はインフルエンザ 自体の発症と重症化を抑制することで、脳症の予防に有効です。一方、抗インフルエンザ薬の発症後使用により、脳症の予防効果があるかは確認されていません。

インフルエンザによる発熱では、多くの解熱薬はインフルエンザ脳症の発生リスクがあるため使えません。

使える解熱薬:
・アセトアミノフェン(カロナール®、アンヒバ®)のみ(欧米ではイブプロフェンも許可)

使えない解熱薬:
・ジクロフェナク(ボルタレン®)、アスピリン(バファリンA®、バファリンライト®)、メフェナム酸(ポンタール®)、ロキソプロフェン(ロキソニン®、バファリンEX®)など

家に置いてある解熱薬を使用する際は、その成分について十分ご注意下さい。

ガンマグロブリン療法後・輸血後の予防接種の制限

ガンマグロブリン製剤および輸血用製剤には様々な感染症に対する抗体が含まれるため、投与後に一時的に血中の抗体が増加します。このような状態では、生ワクチン製剤のワクチンウイルスが中和されてしまい、十分な免疫が付きません。したがって、血中でワクチンウイルスが増殖する生ワクチンの場合には、ガンマグロブリン療法後あるいは輸血後、一定の期間をおいてから接種する必要があります。(参照先)。

対象となる生ワクチン:MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチン
接種を控える期間:

  • ガンマグロブリン製剤(40mg/kg):3ヶ月
  • 川崎病、特発性血小板減少性紫斑病などに対する200mg/kg以上の大量ガンマグロブリン療法後:6ヶ月(麻疹流行期)、11か月(麻疹非流行期)
  • 濃厚赤血球:5ヶ月、全血:6ヶ月、血小板またはFFP:7ヶ月

なお、同じ生ワクチンでも、BCGは皮下増殖、ロタウイルスワクチンは腸管内増殖するため、この制限は不要です。
不活化ワクチンについても、血中抗体の影響を受けないため制限不要です。

ムンプス難聴をごぞんじですか

日本は先進国で唯一おたふくかぜワクチンが定期接種化されていない国であり、ワクチン接種率は30〜40%と低迷しています。そのため、日本では4〜6年おきに100万人超/年のムンプス大流行が繰り返されています(参照先1 次回の予測流行年2020〜2022年ころ)。ムンプスの生涯残る深刻な合併症として難聴があり、以下の特徴があります(参照先2)。

  • 一側性高度難聴(5%は両側性)
  • ほとんど治療効果なく回復が期待できない
  • 1/4は耳下腺腫脹がなく発生する(不顕性感染)
  • ムンプス罹患のおよそ1/500〜1/1,000に合併
  • 発症のピークは4〜14歳とその親の子育て世代

2018年前期NHK朝ドラ「半分、青い」では、不顕性感染のムンプス難聴により一側の聴力を完全に失ったヒロインが描かれていました。

小児および50歳未満の成人で、①おたふくかぜワクチンを打ったことがない、②ムンプスに罹ったことがない、のいずれかの場合には、難聴のリスクを回避するため、2回の任意ワクチン接種(最短4週間間隔)を受けるよう強くお勧めします。

抗菌薬の上手な飲ませ方

抗菌薬は治療の重要な柱ですが、小児では飲んでくれないと治療自体が成立しなくなります。飲ませるひと工夫が大切です。

  • クラリスドライシロップ
    甘いコーティングが酸性で溶けるので、酸性のもの(ヨーグルト、乳酸菌飲料、オレンジジュース、アップルジュース、スポーツ飲料、ムコダインドライシロップなど)に混ぜると苦くて飲めなくなります。ミルク、練乳、アイスクリームなどがお勧めです。
  • クラバモックス小児用配合ドライシロップ懸濁液
    よく振ってから、キャップに記された規定量を与えて下さい。そのままでは飲みにくいため、ヨーグルト、飲むヨーグルトに混ぜて飲ませます。

他の薬についてはこちら

首のかしいだ乳児

首が、いつも一方に傾いた新生児、乳児で、最も多い原因は筋性斜頸です。
筋性斜頸のポイントをまとめてみました。(出典:小児の整形外科診療エッセンス. 診断と治療社, 2013年刊)

概要:

  • 胸鎖乳突筋が短くなり、首の動きが制限された状態
  • 1歳までに約90%は自然治癒するので経過観察する。自然治癒しない場合は、1歳時に小児整形外科受診

診断:

  • 胸鎖乳突筋の短い側に頭部全体が傾き、顔は対側を向く。
  • 胸鎖乳突筋にビー玉のような腫瘤を生後2〜3週頃触れる(腫瘤は生後4ヶ月頃までに消失)。
  • 胸鎖乳突筋の形状は、①腫瘤を触れる ②全体を索状に触れる ③いずれもない

治療:

  • 特別な治療は不要:マッサージしない、無理に首を曲げない。
  • 向き癖の対策をする:①向き顔の逆に保護者が寝る、②向き顔が前に向かうよう抱っこする。
  • 1歳以上で胸鎖乳突筋の手術が行われる場合、時期は3歳頃
  • 向き癖による頭蓋の変形には特別な治療は行わず、自然経過をみる。

HPVワクチン接種の実質的中止―その経緯

HPVワクチン接種率は、定期接種開始時の約75%から3年目以降は1%未満になり、現在に至ります。前例のない、急激で極端な接種率低下により、接種の実質的中止を招いた経緯を振り返ります。

HPVワクチンは、2010年から3年間の公費助成による接種期間を経て、2013年4月から定期接種が開始されました。その直前の3月、朝日新聞による”HPVワクチン副作用キャンペーン”が始まり、HPVワクチンの“副作用”を糾弾する連日の報道に困惑した厚労省は、わずか3ヶ月後の6月中旬、“積極的勧奨の一時的差し控え”(勧告)(厚労省通知)を自治体に通知しました。

予防接種法では、ヒトパピローマウイルス感染症が含まれるA類疾病の定期予防接種の勧奨と実施は自治体の義務と定められています。一方、この厚労省による勧奨差し控え勧告は法的拘束力を持たず、自治体に対する協力要請に過ぎないものでした(参照先)。この勧告におけるHPVワクチン定期接種の勧奨と周知に関する記述の要点は以下の通りです。

  1. 勧奨に当たっては、接種の積極的勧奨とならないように留意する。
  2. 定期接種を中止するものではないので、対象者のうち希望者が定期接種を受けることができるよう、対象者への周知を行うとともに、接種機会の確保を図る。
  3. 周知方法については、個別通知を求めるものではない。

ここでは、“積極的勧奨とならない勧奨”とは、具体的にどのような行為を指すか示されていません。一方で、対象者には(個別通知でなくとも)周知を図るよう求めています。

ところが、この相反する不明瞭な指示内容の通知を受けとった自治体側では、その後、一切の周知活動や個別通知を止め、予診票の一斉送付も行わなくなりました。このため、ほとんどの接種対象者には「HPVワクチンが定期接種として存在していること」自体が知らされない結果になりました。表現上は“積極的”な勧奨の中止に限定されていますが、実質的には勧奨と実施の全面的中止となり、予防接種法で自治体に課せられた義務規定に大きく反する結果となっています。

実質的中止を2013年以来続け、AYA世代女性を中心に子宮頸がん罹患の2次的拡大が懸念されるようになってきました。危機感を共有する一部の自治体は、最近になり独自に積極的勧奨を始めました。国は、このような自治体には制裁を加えない方針を明らかにしました(参照先)。

2013年以降の国内外の実証的な医学研究により、HPVワクチンの副作用とされた内容は否定され、安全性、有効性の極めて高いワクチンであることが繰り返し確認されています。厚労省が、科学的に根拠の乏しい理由でワクチン接種中止状態を放置していることは国際的にも批判されています。厚労省と自治体は誤った新聞記事に追従して決めた暫定的中止方針を直ちに終了し、接種の実質的再開を行うとともに、無料で受けられる定期接種の年齢を過ぎたAYA世代女性への救済措置を実施するよう求めます。

健康乳児の頭蓋変形に対するヘルメット療法は無効である

健康乳児でも、仰臥位や向き癖により頭蓋の変形(短頭蓋=いわゆる絶壁頭、斜頭蓋=非対称な頭蓋)は頻繁に見られます。この健康乳児の頭蓋変形に対して、ヘルメット療法を積極的に勧める医療機関があります。

この方法は標準的治療としては認められていないため保険適応でなく、相当に高額な自費支払いが請求されます。ここでは、健常児を対象にしたヘルメット療法について、その効果を検討した研究成果を紹介します(参照先)。

  • 中程度から高度の頭蓋変形を持つ84名の生後5-6ヶ月の健康乳児を対象
  • 6ヶ月間のヘルメット療法群(42名)と治療を加えない自然経過観察群(42名)に無作為に割り付け、その後の両群の頭蓋変形を比較
  • 生後24ヶ月の時点で、残存する頭蓋変形の程度、頭蓋変形消失率のいずれも両群で差を認めなかった。
  • ヘルメット群では全員で何らかの軽度の副作用(ヘルメット装着に対する児の抵抗、皮膚刺激、過剰な発汗、ヘルメットの不快な臭気、抱っこのしにくさ)を経験した。
  • ヘルメット療法に、運動機能発達や生活の質に対する効果は認められなかった。

以上より、ヘルメット療法は自然経過観察と比較して健康乳児に見られる頭蓋変形に効果を認めず、当院ではお勧めしません。

抗インフルエンザ薬バロキサビル(ゾフルーザⓇ)について(2019年)

ゾフルーザは1回の服薬で済む新しい抗インフルエンザ薬です。12〜64歳の基礎疾患のないインフルエンザ患者での検討(New England Journal of Medicine 2018;379:913-923)では以下の点が明らかにされています。

  • 有症状期間を1日ほど短縮させるが、タミフルとは同等
  • ウイルス排出期間はタミフルやプラセボよりも2〜3日短縮させる。
  • A/H3N2型ウイルスでは、ゾフルーザ開始後に遺伝子変異による耐性化が生じやすく(成人で9.7%、小児では23.3%)、ウイルス排出期間、有症状期間が長引くことがある。
  • 安全性の面では明白な懸念はない。

最新のゾフルーザ使用時の耐性化率(シオノギ製薬による調査結果を紹介した第44回東日本小児科学会における菅谷憲夫先生の発表から)

6歳未満  52.2%
6歳以上12歳未満  18.9%
12歳以上および成人  10.3%

  • 耐性化は同じ感染期間中に生じる。
  • 耐性化した場合、6歳未満の有症状期間は200~300時間にまで延長することがある。
  • 小児の場合、B型感染で2峰性発熱が出やすいことが認められる。
  • ゾフルーザ耐性株の感染力は野生株と同等である。

以上より、

  • 当院では12歳未満にはゾフルーザは使用しません。
  • 12歳以上でも、①ゾフルーザにおける耐性化率がタミフル(耐性化率1%以下)よりも明らかに高いこと、②耐性化した場合に症状が延びる可能性があること、③耐性株が自然株と同程度の強い感染力を保持すること、をお伝えした上で、希望される場合に処方します。

自治体によるHPVワクチン啓発活動 続報

HPVワクチン接種の実質的中止に関する国の不作為が放置されるなか、このワクチンが定期予防接種であることを積極的に周知する活動が自治体単位で始まっていることはさきにお伝えしました。
ここでは、岡山県による活動を取りあげます。ぜひ、内容を参考にして下さい。(岡山県HP啓発リーフレット

日本では若い女性の子宮頸がんが増加中

日本の子宮頸がん患者数が2000年以降増加しています(参照情報)。この増加の主体となるのは30歳代以下の若年層(AYA世代)であり、とくに放射線治療の効きにくい腺癌が増加しています。子宮頸がんに罹らないための予防が重要ですが、現在の予防方法は以下の2つです。

  1. 子宮頸がんワクチンを思春期にあらかじめ受け、それ以降に起こるがんの原因(ヒトパピローマウイルスの感染)を予防する(1次予防)。
  2. ヒトパピローマウイルスの感染により生じる子宮粘膜の病的変化を検診で発見する(2次予防)。

ところが、日本では、子宮頸がん検診受診率は非常に低いまま(4割程度)であり、またHPVワクチンの積極的勧奨は一時中止されておよそ8年が経過しています。このままでは、「予防できるはずである子宮頸がんにより多くの若年女性が生命を失う、後遺症で悩まされる」という悲劇が繰り返されます。
HPVワクチンの効果と安全性に関する正確な情報を得て、接種の重要性と意義をぜひ認識していただきたいと思います。

おむつ皮膚炎の予防と治療

おむつ皮膚炎は新生児期から乳幼児期まで頻繁に経験されます。最近の高吸収性おむつの使用により、以前より明らかに頻度が減ったように思いますが、感染性胃腸炎などではしばしば合併します。新生児のおむつ皮膚炎に関する110の研究をまとめたレビュー(参照文献)は至極当然の結論であり、乳幼児期全般のおむつ皮膚炎にも当てはまります。

  • 高吸収性おむつはおむつ皮膚炎を減らし、頻回のおむつ交換はその予防と治療に重要である。
  • 皮膚外用薬の塗布は有効であるが、頻回のおむつ交換に代わるものでなく、両方を併用すべきである。
  • おしり拭き製品と水の洗浄では、効果に差がない。

外来における抗インフルエンザ薬使用の考え方

小児科学会「2020/21シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」(2020年10月 参照先)から、外来における抗インフルエンザ薬使用の要点をまとめました。

  • インフルエンザは多くは自然軽快するため、抗インフルエンザ薬の投与は必須でない
  • 一方、インフルエンザの重症化リスクが高い場合(幼児、基礎疾患がある患者)、呼吸器症状が強い場合には投与が推奨される
  • 発症後48時間以内の使用が原則
  • 重症化リスクが高く症状が遷延する場合は、48時間以降でも投与を考慮
  • 薬剤の選択
    • 全年齢でタミフルを推奨
    • 吸入薬(リレンザ、イナビル)は10歳以上で推奨
    • 呼吸器症状が強い場合、呼吸器疾患のある場合はタミフルを推奨
    • ゾフルーザは12歳未満では推奨しない

気管支喘息とアレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎の密接な関係

下気道の病気である気管支喘息と、上気道の病気であるアレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎は密接に関連しています。気管支喘息の60〜80%にアレルギー性鼻炎を、40〜60%に慢性副鼻腔炎を合併します。逆に、アレルギー性鼻炎の30%に気管支喘息を合併します。これらの疾患はしばしば併存するために、近年では“one airway, one disease”として、統一の病態として捉えられるようになっています。その機序として考えられているのは以下のものです(参照文献)。

  • 鼻腔・咽頭・副鼻腔の炎症により神経受容体が刺戟され、副交感神経の反射を介して下気道の収縮反応、気道過敏性の亢進
  • 後鼻漏に含まれる炎症細胞やメディエーターが下気道を直接刺激
  • 後鼻漏による咽頭刺激から神経反射を介して気道過敏性の亢進
  • 鼻炎、副鼻腔炎による鼻閉が口呼吸を招き、低温で乾燥した空気が下気道に直接流入し気道過敏性を亢進
  • 鼻粘膜の抗原暴露により、下気道でライノウイルス感染受容体(ICAM-1)の発現が増大

臨床的にも、しつこい喘鳴や咳が気管支喘息の治療だけでは改善せず、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎への積極的な治療を加えることで劇的に改善することがしばしば経験されます。当院では、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、副鼻腔エコー、吸入アレルゲン特異的IgE、前鼻鏡観察、鼻汁好酸球ハンセル染色などの検査を組み合わせ、個々の患者さんごとにone airway, one diseaseとしてのより適確な病態把握と治療方針の選択に努めています。

負担を伴わない子どもの視覚スクリーニング検査

子どもの視力は18ヶ月をピークに8歳ころまで発達します。この過程で斜視や屈折異常(遠視、乱視、近視、不同視)があると、視覚刺戟が脳に適切に伝えられず視力の形成を阻害し、高度の弱視につながることがあります。弱視の治療は5歳までの幼児期に開始することが望ましく、それまでに原因となる斜視、屈折異常の発見が大切です。
Spot Vision Screener®は、小児の斜視、屈折異常をスクリーニングするために開発された装置です。大人しく座った状態で、1m離れた場所からカメラの様な形をしたこの装置を顔に向けると約1秒間で完了し、自動的に異常の有無を判定します。点眼などの前処置、検査に伴う放射線被曝、長い固定や疼痛、苦痛は伴わず、小児の検査として優しく実施できる条件を満たしています。
当院で乳幼児健診(6/7ヶ月、9/10ヶ月、1.6歳)および入園時健診を受けられる際に、健診の一部として実施します。この検査による新たな費用負担は生じません。これ以外にも、自発的に単独で検査を希望される場合(自費診療となり有料)、あるいは症状等で視覚異常が疑われる場合(保険診療)も受け付けます。
この検査で異常の疑いが持たれた場合には、文京区内で小児を専門とする眼科医療機関(本郷地区、茗荷谷地区)にご紹介します。

ステロイド剤を塗ると皮膚が黒くなる?

ステロイド外用薬の副作用については、種々の誤解があります。「ステロイド剤を塗ると皮膚が黒くなる」というのも代表的なものです。さらに、頸回りでは紫外線が当たると黒くなるので塗らないように、と医療機関から指導されている例もあります。

ステロイドには色素沈着をさせる作用はなく、紫外線で増強されることもありません。アトピー性皮膚炎の患者さんで色素沈着が見られることがありますが、これはステロイド外用薬の使用が十分かつ適切になされなかったため、皮膚の炎症が慢性的に続いてきたことが原因です。ネット情報や、医療機関の説明を受ける際にはご注意下さい(参照文献)。

乳幼児への抗ヒスタミン薬使用と熱性痙攣

抗ヒスタミン薬は局所のヒスタミン受容体(H1受容体)と結合し、鼻水や痒みを抑制します。鼻風邪、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹などによく処方されます。ヒスタミンは、本来、痙攣抑制作用を持つ神経伝達物質ですが、抗ヒスタミン薬が脳内へ移行してヒスタミンの働きを妨げると,痙攣が誘発されやすくなります。

抗ヒスタミン薬は中枢神経への移行のし易さや作用により、鎮静性、軽度鎮静性、非鎮静性に分類されます。1983年以前に市販が開始された第1世代の抗ヒスタミン剤(ペリアクチン、ポララミンなど)は、脂溶性が高く、脳内移行し易く、鎮静性です。これに対して、それ以降に市販された第2世代(ザジテン、セルテクトを除く)は脳内への移行がしにくく、軽度鎮静性あるいは非鎮静性です。なお、ザジテン、セルテクトは第2世代ですが、脳内ヒスタミンH1受容体占拠率が第1世代と同程度で鎮静性です。

熱性痙攣を起こしやすい年代である乳幼児に抗ヒスタミン薬を使用する場合には、痙攣を誘発するリスクのある鎮静性の薬剤は避けるべきです。医療機関から処方された場合にはご注意下さい。

以下に安全性により分類された一覧を示します(参照先)。当院では乳幼児に使用する場合には①のいずれかを優先的に使用します。なお、これらは先発品の商品名であり、後発品は同じ成分でも商品名が違いますので薬局でご確認下さい。

  1. 安全:アレグラ、アレジオン、ザイザル
  2. 比較的安全:クラリチン、ジルテック、アレロック、タリオン、ゼスラン、ニポラジン、アゼプチン
  3. 熱性痙攣を誘発する可能性があるもの:ザジテン、セルテクト、ポララミン、アレルギン、ペリアクチン、ヒスタール、アタラックス、レスタミン、タベジール、テルギンG

幼児喘息に対するスペーサを用いたステロイド吸入療法

乳幼児期の喘息に対するステロイド吸入療法は主にネブライザーを用いて行われますが、懸濁液であるパルミコート吸入液は吸入完了に時間(5〜10分程度)が掛かり、1日1−2回の吸入を毎日続けることはかなりの負担になります。これに対して幼児では、吸入用のマスク付き器具(スペーサ)を介してエアゾール製剤を吸入することができます。マスクをぴったり口に当ててスペーサ内に薬剤を1回噴霧したのち、4~5回ゆっくり呼吸を繰り返せば完了するため、時間と手間が大巾に減ります。当院ではエアロチャンバー・プラス®を貸し出し用に用意し、自宅での短期間治療用や練習用に利用いただいています。長期間の自宅使用には購入(定価3,300円 税抜き)していただきます。練習をすれば2歳位から吸入できるようになります。
スペーサには種々のエアゾール製剤(小児では、フルタイドエアー®、アドエアエアー®、キュバール®、オルベスコ®、フルティフォーム®、メプチンキッドエアー®)を装着することができ、スペーサ1個あれば重症度や目的に応じてお薬を使い分けることができ、携帯にも適しているのが大きな利点です。

行政から提供されるHPVワクチン説明文書について

HPVワクチンは定期接種(=本来は国が積極的勧奨するワクチンを無料で実施する意味)でありながら、積極的勧奨が中止され、実質中止状態が7年以上続いています。HPVワクチン接種を希望して保健所に行くと、予診票と厚労省が作成した説明文書が渡されます。一方、この実質中止状態を憂慮した自治体によっては独自の文書を作成し、各家庭に送付する動きがあります。ここでは2つの文書を紹介します。どちらの説明書がより腑に落ちるか、比較してみて下さい。

  1. 厚労省作成の説明文書(文書1
    まず目に入るのは、1ページタイトルの“ワクチンの「意義・効果」と「接種後に起こりえる症状」について確認し、検討して下さい。”と、下段の“HPVワクチンは、積極的におすすめすることを一時的にやめています”の部分です。「ワクチンの効果と接種後の副反応を比較して、結論として国としては推奨できない」という印象がはじめに強く形成されます。
    子宮頸がんという病気自体の説明はなく、そのリスクについては、文章中段の小さい文字でわずかに述べられているに過ぎません。ワクチンの効果については、“子宮けいがんそのものを予防する効果は、現段階ではまだ証明されていない”というネガティブな印象を与える文章も見られます。
    2ページ上段にはワクチン一般に認められる局所症状やアナフィラキシーなどが説明されます。下段の囲み記事に、全身の疼痛を主体とするいわゆる「多様な症状」が記載されています。この「多様な症状」については、いくつもの研究においてワクチン接種をしない場合にも同様に出現し、ワクチン接種とは直接関係ないことが確認されていますが、その点は触れられていません。厚労省の文書は、子宮頸がんという病気の重大性およびHPVワクチンの有効性よりも、ワクチンのリスクをより印象づける構成になっています。
  2. 千葉県いすみ市作成の説明文書(文書2
    厚労省の文書とは対照的に、まず子宮頸がんのリスク、とくに20~30代の若い女性に重大な問題であることが述べられます。次に、HPVワクチンのターゲットであるHPV16型・18型が20〜30代の子宮頸がんの9割近くを占めることが示されます。
    ワクチン副反応では、他のワクチンでも同様に認められる局所の痛みや失神がまず解説され、よりまれなアナフィラキシーなどの重い副反応が述べられます。いわゆる「多様な症状」についてはとくに触れられていません。
    最後に、世界保健機構(WHO)から、HPVワクチンが極めて安全であり、今後日本での子宮頸がんの死亡率増大が予想される中、積極的勧奨の中止措置を憂慮する公式見解が述べられています。全体としていすみ市の文書は、子宮頸がんという病気の重大性、HPVワクチンの有効性、ワクチン接種のリクスの説明がバランスよく記載され、全体像を把握できる客観的記述になっていると思います。

小児のウイルス性胃腸炎への対処について

「小児急性胃腸炎診療ガイドライン」(日本小児救急医学会刊2017年)に記載されたウイルスによる小児の急性胃腸炎への対処法についてまとめてみました。

  • 経口補水療法
    軽症〜中等症の脱水の場合、経口補水液(アクアライト、OS-1等)から始めます。与え方は、ティースプーン1杯分(5mL)を5分毎に飲ませ続けます。経口補水液を嫌がる場合は、塩分を含んだ重湯、お粥、野菜スープ、チキンスープで代用できます。味付けする塩分の目安は100mLあたり0.3〜0.4gです。失った水分量(健康時との体重差から1kg=1,000mLとして推定)を4時間以内に与えることを目安にします。
  • 食事療法
    母乳栄養児では、経口補水液と併行して母乳は続けます。脱水が改善したら、ミルクや食事はすぐに再開できます。食事の内容はお粥にこだわらず、年齢に応じた通常食で結構です。脂肪の多いものは避けます。ミルクの希釈はしないで下さい。乳糖除去乳(ノンラクト)は、下痢が1〜2週間以上遷延し二次性乳糖不耐症の発生が疑われる場合に考慮します。
  • 薬物療法
    止痢剤・止瀉剤(ロペミン、タンナルビン、アドソルビン、ロートエキス等)の使用は推奨されません。ロペミンは2歳未満で原則禁忌です。整腸剤(ビオフェルミン、ラックビー、ミヤBM等)は頻用されますが、我が国の通常使用量で有効性を示す明確なエビデンスはありません。ウイルス性胃腸炎に対する抗菌薬の使用は推奨されません。
  • 予防と教育
    ロタウイルスワクチンは、重症ロタウイルス胃腸炎の発生を90%以上予防する効果があり、生後2ヶ月になったらなるべく早く接種を開始し、3〜4ヶ月までに完了すべきです。感染拡大には、手洗いの徹底、0.1%次亜塩素酸ナトリウム液(台所用5%製品を50倍に希釈)による汚染物(オムツ、衣類、嘔吐した床など)の消毒が有効です。

乳幼児喘息における吸入療法のポイント

乳幼児の気管支喘息における噴霧器(ネブライザー)を用いた吸入療法の要点をまとめておきます。

ネブライザーの種類

ジェット式、メッシュ式、超音波式がありますが、パルミコートの吸入に使用できるのは前2者のみです。必ずマスクも購入するようにして下さい。

吸入液

  1. パルミコート吸入液はステロイドで、喘息発作を予防する薬です。1日1~2回、1回0.25〜0.5mg使用します。懸濁液であるため、他の吸入薬(メプチンやインタール)とは混合せず使用して下さい。口腔カンジダ症を予防するため、吸入後はうがいか飲水をさせて下さい。
  2. メプチン吸入液は気管支拡張薬で、喘息発作を止める薬です。1回使用量は体重によらず0.3mLです。ただし、この量では少なくて噴霧できないため、必ずインタール吸入液(抗アレルギー薬)2mLと混合して使用します。発作が起きやすい状態では1日2回、1週間程度使用します。重症発作時には、20分間隔で3回まで使用します。これで治まらない場合には救急受診して下さい。

吸入時の注意点

  1. マスクは口にピッタリと当てて下さい。隙間があると吸入効率が落ちます。
  2. 泣き叫びながら吸入させても、吸入効率が著しく(10%以下)低下します。この場合は、アニメ等見せながら吸わせる、寝てから吸わせる、等の対策を行って下さい。
  3. メプチン吸入液と、内服薬(メプチン、ホクナリンなど)、貼付薬(ホクナリンテープなど)の併用は可能です。内服薬と貼付薬は併用しないで下さい。

子どもの慢性便秘に対する治療方針

子どもの慢性便秘では治療開始時にdisimpaction(腸管内に残留した固い便塊を取り除くこと)を徹底的に行うことが大切です。硬便の残留が疑われる場合、連日のグリセリン浣腸を実施します。3日目位にこぶし大の硬便が出てくることもしばしばで、硬便を出し切るのに3−4週間くらい掛かることもあります。必要に応じて1日2回の浣腸も行います。disimpaction開始と同時に浸透圧下剤を開始します。これまで小児に使用できる製剤は酸化マグネシウム(カマ)にほぼ限られていましたが、昨年度(2018年)からポリエチレングリコール製剤(モビコール®)も使えるようになりました。カマと違って、ジュースやヨーグルト、スープなど種々の液体に溶かすことができ、子どもに飲ませやすいお薬です。投与量も通常使用量の半量から4倍までと便通の状態に合わせて選択余地が大きいのも利点です。刺激性下剤(ラキソベロン®など)を使用する場合はほとんどありません。小児便秘の治療期間は数年に及ぶことがありますが、焦らずに根気よく続けて下さい。治療のゴールは便性を恒常的に良好に保ち、排便痛や排便恐怖を無くした上で、自立して排便できる習慣の確立にあります。

手足口病で出席停止にしないわけ

今年(2019年)は数年ぶりに手足口病が大流行しています。
この病気では、発熱から1~2日くらい遅れて手、足を中心として、口囲、膝、大腿近位部、臀部、ときには体幹部に皮疹が出現します。皮疹は楕円形の固い水疱が典型的ですが、紅暈を伴う赤色小丘疹も多いです。のどを痛がって食欲が落ちることも多く、口蓋弓の強い発赤と白い潰瘍(いわゆるヘルパンギーナの所見)を認め、周囲の軟口蓋に中小紅斑が散在することもあります。原因ウイルスはエンテロ(腸管)ウイルスに属するコクサッキーA16(CA16)、CA6、エンテロウイルス71(EV71)などです。今年はCA6が多く、発疹の分布がCA16の場合よりも広く、典型的な水疱とはなりにくい傾向があります。EV71は脳症の合併が多いことが知られており要注意です。

園や学校への出席は、解熱して食事が普通に取れるようになれば可とされています。感染の伝播は患児の唾液や便から排泄されたウイルスが口から入ってうつります。便へのウイルス排泄は発疹が消失したあともダラダラと続き、発症後1ヶ月にも及ぶとされていますので、ある決まった期間だけ出席停止させても感染拡大阻止のためには意味がありません。対策としては患児だけでなく施設全体や家庭全員について手洗い(とくに排便後)を徹底させることです(参照先)。

HPVワクチンをめぐる深い誤解

最近のメディア報道も厚労省作成のパンフレットも、子宮頸がんのリスクとワクチン副作用を同列で対比して、最終的にワクチン接種は個人の判断で選択せよという内容になっています。
朝日新聞による一連のHPVワクチン副作用キャンペーン開始からわずか3ヶ月後の2013年6月、厚労省はHPVワクチン接種の積極勧奨を中止しました。しかしその後、ワクチンの副作用と報道された全身の疼痛を主とする諸症状が、実はワクチンを打ったことのない同年代の少女にも同じくらいの頻度で認められるという重要な事実が、国際的保健機関や国内外の研究者による医学論文において繰り返し確認、報告されています。すなわち、思春期の女性にワクチン接種とは関係なく一定の率で出現する症状であるというのが科学的結論です。子宮頸がん罹患はワクチンにより大幅に低減できる現実のリスクですが、いわゆるワクチン副作用は接種とは直接関係のない性・年齢依存性のリスクであり、両者は対比すべきものではありません。
残念ながら、メディア、厚労省のいずれも、2013年以降に明らかになったHPVワクチンの安全性、有効性を支持する多くの科学的エビデンスに基づいて、それまでの報道姿勢や政策決定を謙虚に反省し、変更するに至っていません。これまでのメディアおよび厚労省のミスリードにより、多くの方がHPVワクチンを恐怖し接種を回避したり、無料で受けられる定期接種ワクチンであることを知らされずに思春期の接種機会を逸する事態が2013年以来放置されている現状を大変憂慮します。

HPVワクチンの安全性と有効性についての情報はこちら

3歳児検尿の尿潜血反応陽性への対応

3歳児健診で行われる尿検査(1次検尿)で、尿の潜血反応が陽性となる場合は比較的頻度の高いものです。日本小児腎臓病学会の指針(「小児の検尿マニュアル」診断と治療社2015年刊)によれば、尿潜血反応の結果に関わらず尿蛋白が陽性(±以上)とならない限り、それ以降の再検査(2次検尿)および精密検査は不要とされています。血尿があっても尿蛋白陰性の場合(血尿単独陽性)では精査対象とならないのは次の理由からです。

  • 先天性腎尿路奇形による高度腎機能障害の可能性が低い
  • 過去の腎生検の知見では組織学的な微少変化に限られ、急速に進行する重症腎炎の可能性が低い
  • 血尿単独陽性では腎生検の適応にならない

そして、血尿単独陽性の場合には、尿蛋白が陽性になるか、学校検尿が行われる年齢に至るまでの経過観察とされています(参照文献)。

なお、文京区では3歳児検尿での潜血陽性の場合、上記の方針と異なり蛋白陰性であっても2次検尿が指示されますのでご注意下さい。この場合、当院では蛋白陰性の場合の2次検尿、精密検査は実施しません。3歳児健診を行っている文京区保健サービスセンター(電話03-5803-1805)にご相談下さい。

あせもの対策と保湿剤の選択

あせは、真皮にある汗腺で作られ、表皮内の汗管を経て体外に分泌されます。表皮角層の構造乱れや表面の汚れにより汗管が詰まると、上流側に汗がたまり汗管周囲に炎症を起こしあせも(汗疹)となります。したがって、あせもの対策としては、①石鹸を使わないシャワー浴を1日数回程度行い、皮脂を保ちつつ皮膚表面を清潔に保ち細菌の繁殖を抑える、②シャワー後に適切なタイプの保湿剤を使用して角質構造を健常に保つ、③必要に応じて抗炎症作用のある外用薬を併用する、などが上げられます。
保湿剤の選択としては、秋、冬に用いるワセリン(プロペト®)は汗管を塞いであせもができやすくなるので、油脂成分を含まない保湿剤(ヒルドイドフォーム®)がお勧めです。抗炎症作用をもつ外用薬として亜鉛華ローション(カラミンローション®)を用います。炎症が強い部位には、ステロイド外用薬を一時的に使うこともあります。

抗インフルエンザ薬の予防投与について

防投与に用いることができるのは、タミフル、イナビル、リレンザ、ゾフルーザの4種類の薬剤です(ゾフルーザは12歳以上、20kg以上のみ)。以下の2条件をともに満たす場合に適応となります。診察代や薬剤費など全額自費負担になります。

  • 同居する家族などがインフルエンザにかかった
  • 高齢者や持病があるなど、インフルエンザにかかると重症化しやすい方

これ以外の条件(適応外使用)で希望される場合は、外来でご相談下さい。

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上気道感染症におけるペニシリン系抗菌薬の使用方針

当院ではペニシリン系抗菌薬の使用にあたり次の方針をとっています。

  • 60mg/kg/日(1日あたり体重1kgあたり60mg)の AMPC(ワイドシリン®細粒20%)を1日3回に分割して使用
  • 5日間使用し、臨床的効果を確認

AMPCは一般的には30~40mg/kg/日・1日2回分割で使用されてきました。しかし、この方法では肺炎球菌感染症の通常条件(4歳以上、肺炎球菌ワクチン接種歴あり、免疫不全基礎疾患なし、成人など)では十分な効果が期待されるものの、ハイリスク条件(2歳未満、集団保育児、肺炎球菌ワクチン未接種、免疫不全基礎疾患など)においては効果が不十分であることが知られています。

これに対して60mg/kg/日・1日3回分割によりハイリスク条件においても十分な効果が期待されます(1日2回分割の場合には75~90mg/kg/日)。これにより薬剤の高い血中濃度を維持して、感性菌だけでなく耐性菌をも死滅させることができます。

以上の使用で効果が不十分の場合には、AMPCを分解する酵素(βラクタマーゼ)を産生する細菌であることを想定して、βラクタマーゼ阻害薬CVAを配合したAMPC/CVA(クラバモックス®)への変更を考えます。

参考文献:
永田理希. Phaseで見極める!小児と成人の上気道感染症. 日本医事新報社 2017

完全母乳栄養児のためのビタミンDサプリメント

日本の完全母乳栄養児の75%はビタミンD不足です。その原因は、母乳中のビタミンD濃度(0.16~1.5μg/L)が育児用ミルク(10μg/L)に比べて非常に低いためです。したがって完全母乳栄養を行っている場合には、他の方法で積極的なビタミンD補給(15.0μg/日)をする必要があります。日光浴あるいは食餌(魚・キノコ・卵黄)が有効ですが、この他にビタミンDサプリメント(BabyD®200, http://babyd.jintan.jp)が利用できます。無味無臭の液体で、毎日1滴ずつ与えることで必要最低量(5.0μg)を補給でき、日光浴や食餌と合わせて利用することをお勧めします。当院受付で販売します。

アトピー性皮膚炎に用いるタクロリムス外用薬(プロトピック軟膏®)

プロトピック軟膏は保湿剤、ステロイド外用薬と並んでアトピー性皮膚炎に対する標準的治療薬の一つです。ステロイド外用薬と比較して以下の特徴があります。

  • 分子量が大きく、正常の皮膚角質層は通過しない。そのため長期使用による皮膚萎縮や毛細血管拡張の副作用がない。
  • 神経末端に働くサブスタンスPを低下させ、痒みを抑制する効果が強い。
  • 皮膚バリア機能の改善効果が高い。
  • カルシニューリン依存性のヘルパーT細胞、肥満細胞、好酸球、樹状細胞に作用してサイトカインやメディエーターの産生を阻害して抗炎症作用を発揮する。
  • 小児用(2~16歳未満)の0.03%製剤の効果は、ステロイド外用薬のマイルドクラス程度とされている。
  • 使用により皮膚がんや悪性リンパ腫の発症リスクが高まることはない。

一方、使用上の注意点としては、以下のようなものがあります。

  • 使用開始初期の3~4日間に皮膚の灼熱感(ヒリヒリ感)が出現することがある。対策として、1)初めの数日間は就寝中に塗布する、2)皮膚炎が強い場合には、ステロイド外用薬を先行させてからプロトピック軟膏に移行する、3)保湿剤を塗った上にプロトピック軟膏を重ねる、など。
  • 粘膜、外陰部、びらん・潰瘍面には使用できない。
  • 皮膚感染症(単純疱疹、伝染性軟属腫、疣贅、伝染性膿痂疹など)がある場合には使用できない。
  • 2歳未満には使用できない。

口まわりの湿疹への対応

乳幼児では口まわりの湿疹がよく見られます。唾液による接触性皮膚炎が主な原因です。このほか、色々な食品に含まれる化学物質(ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリン等)や食物アレルゲンが炎症に関与することもあります。口まわりの湿疹はアトピー性皮膚炎の初発部位になったり、食物の経皮的侵入経路としてアレルギーの原因になったりするので、普段から口まわりの皮膚をきれいに保つことが大切です。対策として、口まわりにワセリン軟膏(プロペトやアズノール軟膏)を食事前にたっぷり塗り、食事が済んで清拭した後で、もう一度塗っておきます。湿疹の程度が強い場合には、マイルドクラスのステロイド軟膏(ロコイドなど)を一時的に併用することもあります。

インフルエンザ迅速検査のとらえ方

インフルエンザの流行期には迅速検査が頻繁に行われますが、検査の精度は完璧ではありません。迅速検査については以下の成績が報告されています(Ann Intern Med. 2012;156:500-511)。

感度 62.3% 特異度 98.2% (陽性尤度比 34.5 陰性尤度比 0.38)

また、インフルエンザ流行期に37.8℃以上の発熱がある場合、インフルエンザである確率は76.5%(事前オッズ 3.26)とされています(Arch Intern Med. 2000;160:3243-3247)。この症状があり迅速検査で陰性の場合、本当はインフルエンザである確率は、55.0%(事後オッズ 1.23)もあります。
さらに、家族内に発症者がいて、そこからの感染が疑われる場合(仮に確率90%)には、検査陰性であってもインフルエンザである確率はもっと高くなります(77%)。このような場合、迅速検査は行わずに抗インフルエンザ薬の適応と考えられます。

保育園開始と予防接種

最近の保育ニーズの高まりにともない、入園受け入れ条件として生後43日からを掲げる園が増えています。この根拠となっているのは、出産後43日からの就業が可能というお母さんへの労働基準法の規定です。一方、赤ちゃんへの予防接種は生後2ヶ月にならないと開始できません。予防接種を受けずに集団保育を開始することは、赤ちゃんを敗血症、髄膜炎、百日咳などの深刻な細菌感染症のリスクに晒すことになります。ちなみに、保育園児における肺炎球菌、インフルエンザ菌の保菌率は非常に高い(いずれも90%)ことが知られています。入園は予防接種の開始後、できれば予防接種のスケジュールが進んだ生後6ヶ月以降をお勧めします。

小児アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用療法

  • アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用療法では、治療開始時に重症度に応じた十分なランク(強さ)のステロイド外用剤を10日間前後、1日2回、十分な厚さでしっかり塗り、肉眼的に完全に正常化(皮疹がなく、触ってザラつかず、摘まんで柔らかい状態)させます。効果が足りなければ、1日3回にするか、1ランク上のステロイド剤を用います。
  • そのあと、①一旦ステロイド剤の塗布をやめて、再発した部位にステロイド剤を塗るリアクティブ療法か、②ステロイド剤をやめず間隔を徐々に広げながら続けるプロアクティブ療法を選択します。
  • いずれの治療法でも、経過中に再発した部位にはステロイド剤を連日しっかり用い、その都度炎症を抑えきることが重要です。これを繰り返すうちに段々と再発しなくなってきます。
  • ステロイド剤の使い方では以下の点が重要です。
    ①ステロイド剤のランク
    病変の強さや部位に応じて、炎症を抑えきるのに必要充分なランクを用います*。
    ②ステロイド剤を塗る回数と厚さ
    ステロイド剤を塗る回数は1日2回を原則とします。塗る厚さは外用剤0.5gあたり成人手掌2枚分の面積です。目安としては塗り上がりがテカテカ光り、ティッシュが付く位が適当です。擦り込まないようにして下さい。
    ③ステロイド剤を塗る期間
    ステロイド外用剤を塗り始め、数日後に一見正常化した後も、さらに5日間前後追加します。これは見た目正常化しても、局所に残存する潜在性の炎症を抑えきるためです。

2018年のガイドラインでは、2016年版までのように乳幼児・小児に使用するランクを成人用ランクよりも一律に下げる必要はない、とされました。
日本皮膚科学会, 日本アレルギー学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018. 日皮会誌 2018;128:2431-2502.

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン:思春期に済ませる予防接種

  • 思春期のHPVワクチン接種により、それ以降に起きるHPV感染が原因である疾患(子宮頸がん、尖圭コンジローマなど)を予防します。
  • 定期接種(公費により無料で実施)の対象は、小学校6年生から高校1年生の女子です。
  • 当院はCDC(米国疾病予防管理センター)の方針に沿い、①接種年齢として11歳または12歳を推奨します。②14歳以下で開始する場合は2回接種(0,6ヶ月)、15歳以上で開始する場合は3回接種(0,2,6ヶ月)とします。
  • 接種の予約は、通常通り当院インターネット予約システムからして下さい。予診票は対象年齢に達しても保健所から送られてきませんが、当院に準備してあります。来院時に当院でお渡ししますので記入して下さい。
  • 定期接種の期限内に完了するには、高校1年生の9月30日までに1回目を始めて下さい。定期接種の条件を満たさないと任意接種(1回あたり約17,000円)になりますのでご注意下さい。

HPVワクチン参照情報はこちら

小児に使える新しい慢性便秘治療薬(モビコール配合内用剤®)

モビコール配合内用剤は2歳以上で適応のある慢性便秘治療薬です。ポリエチレングリコール(PEG)と電解質を配合したお薬で、PEGの浸透圧作用により腸管内に水分を引き込み、便を柔らかくし増量して排便を促進します。PEG製剤は欧米ではこれまで広く利用され、ガイドライン上でも推奨実績があります。1包を60mLの水に溶かすと完全に透明になり、水やお茶でほのかに塩味を感じる程度であり、飲みにくさはありません。これらで味を気にする場合は、リンゴジュース、オレンジジュース、スープ、味噌汁などがよく利用されます。副作用としては、下痢などの下剤としての腹部関連症状の他、発疹が1%程度と報告されています(参照先)。

アトピー性皮膚炎の発症時期

アトピー性皮膚炎の発症は生後2~6ヶ月頃が多いことが知られています。この時期は皮膚角層細胞の量が減少し、皮膚バリア機能が低下します(参照文献)。その結果、肌は乾燥しやすくなり、物理的・化学的刺激に弱くなるとともに、アレルゲンの侵入を受けやすくなります。とくに秋から初冬生まれの赤ちゃんは、湿度の低い冬から春にかけて皮膚炎を発症しやすくなります。生後2ヶ月ころから積極的な保湿に心掛け、皮膚の状態が気になる場合は外来でご相談下さい。

母乳栄養児のビタミンD不足

母乳育児には沢山の優れた面がありますが、一方で栄養学的にデメリットもあります。その一つが母乳中のビタミンD不足です。このため、日本の完全母乳栄養児の実に75%がビタミンD不足(<20ng/mL, 50nmol/L)に陥っていると報告されています(参照文献)。ビタミンD不足は骨の変形を起こす「くる病」や低カルシウム血症によるけいれんの原因になります。さらに、近年の研究から、乳幼児期のビタミンD不足があると感染後喘鳴やアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、気管支喘息)にかかりやすいことが知られています(参照文献)(注)

この背景として近年の紫外線リスクに対する社会的関心があります。日本の新生児では潜在性のビタミンD不足が高頻度に認められますが、原因として妊娠中の母体ビタミンD不足があります。母乳栄養ではこの新生児期の異常が是正ないまま乳児期にも続くことが指摘されています(参照文献)。

対策として最も簡便なのは母親(妊娠中および出産後)および児の日光浴です。母乳栄養の場合には、母児ともに過度の紫外線対策は控え、通常の服装で柔らかな日差しで20分程度の日光浴をお勧めします。また、離乳食にはビタミンDを含んだ食品(魚、キノコ、卵黄)を積極的に加えるようにして下さい(参照先)。また、乳児用のビタミンDサプリメントも利用できます(当院受付で販売)。

注)ビタミンDは上皮細胞などに働いて抗菌ペプチド(カテリシジン)産生を促し自然免疫を増強する一方、活性化T細胞やB細胞に働いてサイトカインや抗体の過剰産生を抑制する作用がある。

肺炎マイコプラズマ感染症の迅速診断

肺炎マイコプラズマ感染症の診断は、これまで血液抗体検査が主に用いられてきましたが結果まで数日かかり、一方従来の迅速抗原検査は感度が低く実用的でありませんでした。そこで、当院では銀増幅技術を応用して従来よりも4倍程度高感度にした迅速診断法(富士ドライケムIMMUNO AGⓇ、感度82% 特異度97%*)を使用することにしました。今後、非典型的な症状や年齢における診断、抗菌薬の適切な選択に役立つことが期待されます。

*小幡美智ら、小児科臨床2017;70:699-702

薬の保管と有効期限

小児科で処方される薬は、粉薬、シロップ剤、錠剤、坐薬など、種々のものがあります。これらは剤形により保存方法や期間が異なりますので、以下を参考にして下さい。とくに、水剤、シロップ剤の保存性は低く、冷蔵庫などでの長期保存は避けて下さい。

  • 錠剤、カプセル剤、粉薬:処方日から半年~1年くらい
  • 水剤、シロップ剤:処方日から1~2週間くらい
  • 坐剤:処方日から半年~1年くらい
  • 点眼薬、点耳剤:開封後1ヶ月くらい
  • 軟膏・クリーム・ローション剤:開封後半年くらい
  • 貼付剤:開封後1ヶ月くらい

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百日咳予防のために三種混合ワクチンの追加接種を

区内では2018年の春から夏にかけて学童を中心に百日咳の流行が見られました。この原因として、1歳までに接種した4回のワクチンが接種後に時間経過とともに徐々に効果が低下し、抗体価が下がったためと考えられます。2018年の抗体保有率のデータでは9歳が最も低い値となり、この年齢を中心に流行した事実を裏付けます(参照データ)。

  1. 最も効果的な対策は、就学前(4歳以上)に百日咳に効果のある三種混合ワクチンを1回追加接種することです。なお、この接種は添付文書上の規定にはなく、予防接種に伴う健康被害が発生した場合の公的救済措置を受けられるためには、この時期に行われる他のワクチン(MR2期、おたふく風邪2回目等)との同時接種として受けられるようお勧めします。
  2. さらに、11〜13歳未満で定期接種として行われる二種混合ワクチンの代わりに三種混合ワクチンを受けることも有効です。こちらは添付文書上に記載されており単独接種として受けても問題ありません。

いずれも任意接種であり自己負担になりますが、強くお勧めします。とくに6ヶ月未満の弟妹がいる家庭では兄弟間の二次感染による重症化を防ぐため重要です。

より詳しい情報はこちら

最新の国内百日咳疫学データはこちら

鼻かみ練習器

鼻かみがうまくできない子どもは多いです。そこで、「片方の鼻から吹きだす」という感覚をつけるための器具が開発されました。①この器具を一方の鼻孔に入れ、②他方の鼻孔を押さえ、③鼻から吹かせるとゾウのイラスト紙風船が膨らむ、という仕掛けです。2歳以上のお子さんが対象です。当院受付で販売します。

妊婦がリンゴ病(伝染性紅斑)の患者と接触した場合の注意

リンゴ病にかかった事が無い妊婦が感染すると胎児水腫や胎児死亡を起こす危険性があります。患者からのウイルス排出は発疹出現の7-10日前にピークがあり、発疹出現の時点では無くなっています。妊娠27週までに感染を受けた場合に胎児へのリスクが高いとされています。お子さんがリンゴ病にかかった場合は、最近の妊婦との接触歴に注意して下さい。接触した妊婦の方は産婦人科を受診するようにして下さい。

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RSウイルス迅速検査の実施についての当院の見解

RSウイルス感染症は1歳未満では呼吸器症状が重症化し、時に入院が必要になることのある病気です。一方、1歳を超えると重症化リスクは軽減し、2歳以上では軽い鼻かぜ程度で終わることが多くなります。RSウイルスに対する特効薬は無く、適切な対症療法、補助療法が中心になります。
RSウイルス感染症であるかどうかは治療方針の変更にはつながらず、したがって検査でつきとめる必要性はありません。
現在、RSウイルス迅速検査の保険適用は、1)1歳未満、2)入院中の患者、3)シナジスの適用となる基礎疾患を持つ患者、に限定されています。逆に1歳以上で実施する場合は自費診療(検査および診察のいずれも含む)になります。

以上の理由で、当院では保険適用基準を外れるRSウイルス迅速検査は原則として行いません。ご理解のほど、よろしくお願い致します。

30〜50歳代の方は、麻疹、風疹に対するワクチン追加接種をお勧めします

30〜50歳代の男女とも麻疹(はしか)、風疹とも過去の国の政策によりワクチン接種歴1回以下の方がほとんどで、流行の中心になっています。風疹では妊婦感染による先天性風疹症候群、麻疹では妊婦感染、0歳児の感染による重症化が懸念されます。いずれかのワクチン接種歴1回以下の方は、追加のワクチン接種をお勧めします。MRワクチン1回の接種で両方の免疫が同時に得られます。

1) 風疹対策

文京区では風疹対策として満20歳以上で、①妊娠希望の女性、②妊娠希望の女性と同居の方、③妊婦と同居の方、を対象に風疹抗体検査、ワクチンが無料で受けられる助成制度があります。
また、これまで一度も風疹予防接種を受ける機会のなかった1962年4月2日から1979年4月1日生まれの男性を対象に、無料の風疹抗体検査とMRワクチン接種が国の制度として実施されています(参照情報)

2) 麻疹対策

文京区では、0歳児と同居する20歳以上の男女を対象に、麻疹抗体検査とMRワクチン接種を無料で行います(参照情報)。

麻疹・風疹に対する文京区の任意接種、国の定期接種の条件まとめはこちら

風疹についての国立感染研Q&Aはこちら

がんを予防するためのワクチン

予防接種の中には、がんを予防するワクチンがあります。ウイルス感染が原因となる悪性腫瘍をその始まりのウイルス感染自体を予防することで、がんの発生を阻止します。現在の予防接種では、B型肝炎ウイルスワクチンとHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンがあります。効果が出てくるのは接種後数十年してからですが、とてもとても重要な意義があります。

おうちでできる子どもの難聴の確認

お子さんの耳の聞こえは、子どもの背後の左右からスマートフォンをそっと近づけて音を鳴らす(システムのサウンド設定を利用)と、子どもが鳴った方向にクルッと振り向くことで簡単に確認できます。音が出るときに風圧が出ないようにすることがポイントなのでこの方法は適しています。成長過程の確認の他、おたふくかぜ罹患後などでもぜひ試してみて下さい。

小児鼻副鼻腔炎を遷延化させないために

小児の鼻副鼻腔炎はしばしば遷延化します。しかし、この根幹の原因は「自分で洟をきちんとかむことができず、ウイルス、細菌や起炎症性物質を局所にいつまでも滞留させている」ことにあります。であれば、鼻腔内がいつもきれいになるよう手助けしてあげましょう。小学生以上であれば、鼻うがいのための洗浄キットがあります。1歳以上であれば、生理食塩水をミスト状にして鼻腔内に噴霧するスプレーを用います。0歳では、噴霧液と電動吸入器で洟を柔らかくしてから吸引します。これら鼻の洗浄は、小児では鼻症状への有効性が唯一認められた方法です(参照先)。いずれも当院から提供できますので、ぜひご相談下さい。

鼻うがいのすすめ

うがいは、鼻腔、副鼻腔、上咽頭を洗浄する方法で、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の症状改善に効果があります。また、インフルエンザや通常感冒に対しても感染初期に行うことで、進展を阻止する効果が期待されます。鼻粘膜を刺激しないように調整された専用の洗浄キットを用いることで、幼児でも痛がらずに安全に行えます。洗浄方法の指導や洗浄キットの販売は当院で行います。詳しくは外来でご相談下さい。

小児における第3世代セフェム系抗菌薬による低血糖

中耳炎などによく使用される抗菌薬のなかで、ピボキシル基を有する第3世代セフェム系(メイアクトⓇ、フロモックスⓇ、トミロンⓇ)、経口カルバペネム系(オラペネムⓇ)があります。これらはエネルギー代謝に重要な体内成分(カルニチン)を体外に排泄する作用があります。とくにカルニチン貯蔵量の少ない乳幼児では低血糖から痙攣、脳障害を引き起こす危険性がよく知られており、公的機関や日本小児科学会からも注意喚起対象にされています参照先1,参照先2)。月単位の長期使用だけでなく、1〜6日の短期使用でも発生することが報告されています。医療機関から抗菌薬を処方される際にはご注意下さい。

乳児血管腫(いちご状血管腫)のプロプラノロール内服治療

乳児血管腫(いちご状血管腫)は生後1ヶ月にかけて目立ってきて、生後6ヶ月から1歳にかけて最も大きくなり、その後退縮し5~7歳にかけて大半は自然に軽快します。しかし、できた部位や形状によっては生命や視力に影響するため治療が必要です。また、自然退縮では痕が残ることがしばしばあり、頭部や四肢などの露出部位では美容上の問題から治療されることがあります。これまではレーザーで治療されてきましたが、最近、内服薬(プロプラノロール)による高い治療効果が認められています。詳細については外来までお問い合わせ下さい。

上気道感染症における抗菌薬の使用方針

風邪はウイルスによる上気道感染症であり、本来、抗菌薬は無効です。しかし中耳炎、鼻副鼻腔炎、咽喉頭炎などの細菌感染症との見極めが必ずしも容易でないため、“念のため”抗菌薬が頻用されてきました。その結果、近年は薬の効きにくい耐性菌が市中に拡大し、国からも適正使用の指針が出されています。当院では、抗菌薬を開始する前に必要かを慎重に検討し、使う場合にも耐性菌のできやすい抗菌薬(第3世代セフェム系、キノロン系、マクロライド系)はなるべく避け、ペニシリン系の十分量を短期間使用する方針をとっています。

子供の耳あか

2歳以下は耳あかがとくにたまりやすく、外耳道がほとんど塞がっていることもよくあります。この年齢は中耳炎も好発するので、診察時に鼓膜の確認が欠かせません。しかし、おうちでの耳あか取りは、外耳道や鼓膜を傷つけることがあり避けるべきです。当院では、拡大耳鏡、鼓膜鏡、ファイバースコープなどを用い、耳あかがあっても診断できるよう努力しています。高度閉塞の場合には、当院から処方する耳垢水(耳あかを柔らかくする液)をおうちで点耳していただき再受診して洗浄、除去するか、あるいは耳鼻科を受診していただきます。

母乳栄養児に不足しがちな栄養素

完全母乳栄養で不足しがちな栄養素として鉄とビタミンDが重要です。鉄の不足は鉄欠乏性貧血の、ビタミンDの不足はくる病の発症要因となります。離乳食開始後、これらの栄養素をより多く含んだ食材を積極的に加えていただくことで、欠乏症の予防が期待されます。詳細をご希望の方は、外来までお申し出下さい。

水イボの治療について

水イボは自然治癒するため、基本的には特別な治療を必要としません。しかし、治癒するまでに数年以上かかったり、経過中に広範囲に広がる場合もあります。一方、少なくとも5種類以上の治療法が提唱されていますが、疼痛を伴わない、確実性、短い治療期間などのすべてを満たす理想的な方法は残念ながら無いのが現状です。当院では、これらの点を総合的に評価した結果、50%サリチル酸テープ(スピール膏Ⓡ)と10%ポピドンヨード(イソジンⓇ)液を併用した治療を採用しています。ご希望される場合には外来でご相談下さい。

反復性中耳炎の漢方療法

反復性中耳炎(半年で3回以上または年4回以上の急性中耳炎罹患)は2歳未満の乳幼児にしばしば認められます。この年齢層では免疫能が十分に発達していないため、集団保育、受動喫煙、おしゃぶり使用、6ヶ月未満での中耳炎初発、薬剤耐性菌感染などの危険因子が加わると中耳炎を繰り返しやすくなります。漢方薬の十全大補湯は免疫能賦活作用を介して急性中耳炎の反復を抑制する効果が期待されます。詳しくは外来でご相談下さい。

小児科受診にあたっては積極的なスマートフォンの活用を

小児科の診察では、保護者の方からもたらされるお子さんの情報がとても重要です。これまでは、どんな症状が出たかを間接的に伺うしかありませんでした。しかし、スマートフォンが普及し、画像・音声情報(皮膚の発疹、便の色、咳の音など)をおうちで記録してお持ちいただくと、外来でより正確に診断ができるようになります。小児科外来受診に当たっては、スマートフォンによる画像・音声記録を積極的に御活用下さい。

適切な抗菌薬使用のための検査実施について

当院では細菌感染症に対する抗菌薬の使用にあたり、鼻咽腔ぬぐい液や喀痰などの顕微鏡検査(グラム染色検査)を行い、原因菌の種類をつきとめてから最適と思われる抗菌薬を選択します。このことにより治療期間の短縮や耐性菌拡大の抑制が期待されます。なお、検体の採取から結果判明、処方するまで多少のお時間をいただく場合がありますので御了承下さい。

溶連菌感染後の対応

溶連菌感染症(咽頭炎、皮膚感染症)の罹患後は以下の点に注意して下さい。

  • 7〜10日間の抗菌薬治療直後にのどや頸の痛み、熱が出た場合には溶連菌感染の再燃が疑われ、追加検査と治療が必要になることがありますので、必ず再受診して下さい。
  • 罹患10〜21日後に腎炎を合併することがあります。腎炎になると尿量の極端な減少と、血尿、浮腫、高血圧などの症状が現れます。このうち血尿はコーラ色から褐色調の暗赤色を呈します。また、この腎炎はほとんどの場合、自然に完全に治癒して予後良好です。

このことから当院では、溶連菌感染後の尿検査を一律には行わない方針とします。希望される場合、尿の色に異常がある場合、浮腫などの症状がある場合には尿検査を行いますので受診して下さい。

母乳栄養児専用の発育曲線

母乳育児は種々の優れた点が良く知られていますが、人工栄養に比べてより穏やかに身長、体重が増加する特性があります。そのため、母子手帳に載っている成長曲線から判断すると成長不足とされてしまうことが4〜5ヶ月齢を中心に起こります。完全母乳栄養をされている場合には、専用の発育曲線を参考にして下さい。

おうちでできる乳幼児鼻詰まりの対策

乳幼児は自分で鼻をかむことができないため、鼻炎が遷延し副鼻腔炎や中耳炎、気管支炎に罹りやすくなります。病院からのお薬に加えて、おうちで鼻噴霧や鼻吸引などの処置をしていただくと、悪化の抑制や治癒の促進が期待されます。鼻噴霧液は当院から処方し、吸引器、吸入器は貸出します。また、吸入器がなくても鼻噴霧に使える生理食塩水スプレー(NielMedベビーミストⓇ)を当院で販売します。詳しくは外来でご相談下さい。

臍ヘルニアの圧迫療法

生後1〜2ヶ月に認められる臍ヘルニア(出べそ)はそのまま見ていてもほとんどが自然治癒します。しかし、後でお臍の変形が残り見た目の問題から手術になることがあります。生後2ヶ月頃からヘルニアをカバー材で積極的に覆ってやるとその後の臍の変形を効果的に抑制します。
ご心配の方は外来でご相談下さい。

慢性副鼻腔炎のマクロライド療法

小児、成人の長引く咳の原因の一つとして、慢性副鼻腔炎が重要です。これには、少量のマクロライド系抗菌薬を数ヶ月間続ける治療法が有効です。詳しくは外来でご相談下さい。

アトピー性皮膚炎のプロアクティブ治療

ステロイド剤を塗ると良くなるのだが、やめるとすぐに症状が再燃してしまう患者さんには、ステロイド剤の塗る間隔を徐々にあけていくプロアクティブ治療が有効です。詳しくは外来でご相談下さい。

医療機器貸出について

当院では、通院中の患者さんがご自宅で使用するための機器貸出しを行います。料金はいずれも一泊100円です。保証金は5,000円(エアロチャンバーは2,000円)で、機器返却時にお返しします。詳しくは外来でご相談下さい。

  • 小型電動吸引器:鼻汁の吸引に使用します。
  • ネブライザー:気管支拡張剤やステロイドなどの吸入に使用します。
  • エアロチャンバー:乳幼児がエアゾールの薬剤を吸入するための補助器具です。
  • 薄型デジタルベビースケール:5g刻み目盛りで、授乳前後の体重から母乳量を推定します。

なお、機器の貸出しは、当院における診療を補助するために行っています。受診されず機器のみを借りたり、延滞されることはご遠慮下さい。

スギ花粉症に対する舌下免疫療法

ごく微量のスギ花粉抽出物から作った薬剤を数年間、毎日続けて舌下服用していただくことで、鼻炎や結膜炎の症状が効果的に抑えられます。スギ花粉の飛散しない毎年6月〜11月に治療を開始し、その後は花粉症の時期も続けていただきます。治療対象は5歳以上の小児および成人です。詳しくは外来でご相談下さい。

ダニによるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法

ダニは年間を通じてアレルギー性鼻炎の重要な原因になります。ごく微量のダニ抽出物から作った薬剤を、数年間続けて舌下服用していただくことで、鼻炎や結膜炎などのアレルギー症状の軽減が期待されます。治療開始は年間を通じていずれの時期からでも始められます。対象は5歳以上の小児および成人です。詳しくは外来でご相談下さい。

院内写真

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医師の紹介

院長・小児科近藤 千里

学歴

1980年新潟大学医学部卒業

職歴

1980年日本赤十字社医療センター小児科

1982年東京女子医科大学 循環器小児科

1989年University of California, San Francisco留学

2001年東京女子医科大学 画像診断・核医学科

2016年小石川柳町クリニック開設

資格

  • 医学博士
  • 日本小児科学会 小児科専門医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本心臓病学会 特別正会員
  • 日本小児循環器学会 特別会員

内科近藤 光子

学歴

1980年新潟大学医学部卒業

職歴

1980年東京女子医科大学 呼吸器内科

1982年都立広尾病院 呼吸器科

1989年University of California, San Francisco留学

1991年東京都多摩老人医療センター 呼吸器科

1994年東京女子医科大学 呼吸器内科

資格

  • 医学博士
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器内科専門医
  • 日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
  • 日本医師会 認定産業医

当院は抗菌薬の適正使用に努めています

当院はHPVワクチン接種の普及を支持します

多言語対応
Supports multiple languages, 다국어를 지원합니다, 支持多种语言

当院は英語で対応できます。他の言語については同時翻訳器を使用します。
Our hospital can respond in English. Use a simultaneous translator for other languages.
당원은 영어로 대응할 수 있습니다. 다른 언어에 대해서는 동시 번역 장치를 사용합니다.
我們醫院可以用英語回复。使用其他語言的同聲翻譯。

クリニックについて
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クリニックについて

診療カレンダー

小児科診療内容:

  • 午前、午後とも予防接種・乳幼児健診、一般診察
  • 金、土午後は一般診察のみ
診療科目
小児科・内科
所在地
〒112-0002
東京都文京区小石川1-13-9クリオ文京小石川103
来院予約
03-5805-3749

※小児予防接種はインターネット予約のみ

電話/オンライン診療専用メールアドレス
yanagicho.cl.online@gmail.com

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